生姜異物強壮

The Lost Tribe(原題)の生姜異物強壮のレビュー・感想・評価

The Lost Tribe(原題)(2009年製作の映画)
3.9
縁は異なモノ。本作がきっかけで(同脚本別演出の”双子”作である)『猿の復讐』に出演のジャスティン・バルドー二君との交際がスタート、ついには結婚に至った金髪北欧令嬢こと、エミリー・バルドー二(旧姓:フォクスラー)───奇しくも成婚年の2013年、『ランダム 存在の確率(2013年)』主演で俄かに高評価を獲得。注目度アップで業界“ミニ”ブレイクを果たしたので、おぼろげでも容姿ご記憶のかた?おいでだろう。
 
で本作は、同“出世作”より遡ること3年前に(=つまり、まだまだ無名の"B級映画女優"時代に)、そんな彼女が「メインの主役」の座を射止めた【低予算サバイバル・ホラー】ムービーである。

前述の双子作『猿の復讐』バージョンの方は、日本でもDVDスルーで陽の目を見た。制作経緯から言えば本作『ザ・ロスト・トライブ』の方が(『猿の復讐』の)出直し再撮影プロジェクトなのだから、当然の話、こっちのが「比較的、出来が良い方」に該当する。なのに本邦じゃ、なぜか(失敗バージョンの)あっちがDVD発売され、こっちが未公開のまま埋もれてしまった。日本の洋画ファン諸氏には「誠にアンラッキーだった」…と言うべきか。

実際に観てみれば、無人島らしき謎の孤島に漂着した5人の男女───お互いの間に(やがて)渦巻きギスギスし始める感情の機微は、こっちのバージョンの方が丁寧に映像化されてる。一方、襲い来る『人喰い猿人』らを(おそらく制作費の関係上)CGでは描かず、80年代来の「地道でリアルな」スタント演技陣の汗水に頼ってる点は(両バージョン間で)大差ない。
 
とは言え本作、そんな(時代錯誤の)レトロ仕掛けに依拠しながら、シュワちゃんの『プレデター(1987年)』に見劣りしない「まぁ 見苦しくない自然さ」。言葉を換えりゃ、「痛々しいまでの糞チープっぽさは、ひとまず回避できてる感」をギリギリ、何とかキープし遂(おう)せた。

その点は敢闘賞。実に立派なもんだ、と思う。

あとあとネットで知り得た裏話だが、実はロケ撮影完了後、細部の映像エディット段階で実績あるCG集団と組み、シーン毎に細部の「光の加減」「汚れ加減」「血しぶき加減」は綿密にデジタル補正、すなわち「ブラッシュアップ」してた由(よし)…。

なるほどねえ……少なくとも本作の制作陣、目立たぬところに適宜「然るべきカネと手間」を振り分けるだけの「バランス感覚」は備えてたようだ。どうやら、ここ数年よくある 【クラウド・ファンディング成功で舞い上がって、経験も積まぬド素人が作っちまったイタイタしい駄作】とは、その辺りが明確に違ってた🎵、ってことらしい。