そうめん

さよなら、僕のマンハッタンのそうめんのレビュー・感想・評価

3.5
カルチュアレベルは高いけど、世の中の理が分かっていない・・・という、側から見ていても悶々とする主人公のトーマス・ウェブ。

それが、親父の愛人とコンタクトしたところから、あれよあれよと物事が転がっていく。トーマスのお悩みレベルが、いかにも若いな~という感じだし、周囲の大人が抱える深い葛藤とか、胸をえぐる苦悩とか、そういう素振りは大げさには見せない。まさに大人の対応。その結果、彼のモヤモヤぶりが際立って「何やってんだよ!」と思えてくる。青春映画の醍醐味だなぁ。

これ、トーマスを媒介にした周囲の大人たちの話でもある。それを知ることが彼を成長させ、モラトリアムを育んだマンハッタンに別れを告げる。

ビターだけど甘い複雑な人生を垣間見るちょっとした小話。ニューヨークのお洒落な雰囲気と粋な大人たちが紡ぐファンタジーなのかも。現実はこうはいかないだろう。