slow

さよなら、僕のマンハッタンのslowのレビュー・感想・評価

4.0
家族の優しさとは。異性への想いとは。偽りのない絆とは。交錯する人々は、心の擦れ違いに寂しさを抱きながらも、それを繰り返すことで日常に所縁を作り出す。

前作『gifted』でインディペンデント映画に帰還したマーク・ウェブが、『(500)日のサマー』を生み出す以前から温めていた企画があったのだと言う。それが本作『さよなら、僕のマンハッタン』。ちょっとハル・ハートリーぽさを感じたのは、登場人物の詩的な台詞回しからだろうか。それとも、カラム・ターナーの地味イケメンぷりや、カーシー・クレモンズのキュートな唇がそう思わせたのだろうか。そのフレッシュな若手の脇には充実のベテラン陣が名を連ねる。久しぶりに見たケイト・ベッキンセール(最初彼女だと気が付かなかった)の色気。ピアース・ブロスナン、ジェフ・ブリッジスの渋味。特にジェフ・ブリッジスは随分と枯れてきたような。無精髭がないせいか、かなり印象が違って見えた。音楽の選曲センスもやはり素晴らしく、ボブ・ディランの曲やトーマスをトムと呼ばせたのもなかなか憎い演出。

今でもニューヨークは憧れの街なのだろうか。それとも、もう過去の話なのだろうか。それは自分次第だと本作は説いているようだった。
slow

slow