KANA

さよなら、僕のマンハッタンのKANAのレビュー・感想・評価

3.8

浅はかな邦題のせいか、正直内容には全く期待してなかった。
ポッと時間ができた、けど頭使いたくない…という感じだったので、ただNY、モラトリアムという好みのキーワードだけでチョイス。

蓋を開けてみればこれがなかなかの脚本ですぐに引き込まれた。
中盤、ほぉそうきたか!と驚きつつ、終盤には登場人物達のさらに深いバックグラウンドが明かされてビックリ!
トーマスがひょんなことから知り合った初老の隣人W.F.がなんで語り口調でナレーションをしてるのか違和感は感じてたけど、そこがなるほど〜となる括り。
気がつけばそんな伏線が緻密に散りばめられてた。
とにかく語り口が粋。
あぁ、人生って〜。。
絶妙なタイミングで挿入されるサイモン&ガーファンクルも物書き達のドラマを詩的に彩る。

アッパーウエスト、ロウワーイースト、ブルックリン、ソーホー…それぞれの地区を象徴する人物像や台詞を配置することで、マンハッタンは資本主義先進社会に生きる人々の縮図であることもさり気なく示唆している。
その入り組んだ人間模様はウディ・アレンのシュールさとも重なった。

清濁併せ呑むことを知った生粋のニューヨーカーは、スタイリッシュなんかじゃない。
トーマスはとっても人間臭い道を自ら進んで歩むだろうなぁ。

それにしても脇を固めるキャストがジェフ・ブリッジス、ピアース・ブロスナン、ケイト・ベッキンセイル、シンシア・ニクソンと豪華。
キーパーソンとなるジェフ・ブリッジスがとってもいい味出しててよかった!
KANA

KANA