和桜

さよなら、僕のマンハッタンの和桜のレビュー・感想・評価

3.8
夫婦だからといって、完全な相互理解などありえない。謎は永遠に残り続ける。それでも二人はもがきながら互いを求め、足りないピースを探し続ける。

不倫をテーマにした物語にはシビアになってしまう自分がいる。不倫の結果、誰かが不幸になっているのにラストがハッピーエンド風で終わってしまうのはモヤモヤするし、どこかでバットエンドで終わって欲しいと願っていることが多い。
この作品が中盤まで進んだときもまさにそれで、主要人物たちへの因果応報を期待し始めていた。しかし終盤、様々な真実が明らかになるにつれて黒い感情が迷いを見せ、ラストには消え去ってしまった。
現代ニューヨーク版オディプス王を思わせるほどのドロドロ映画が、なんと後味ほろ苦青春映画に様変わりしてしまった!

正直、手放しで面白いと思える映画ではない。
一番衝撃的な部分が一般人からすれば常軌を逸してるし。だけど好き。モヤモヤする場面を残しながらも、最後には感情的に好きになってしまった。
もともとは葛藤を抱えた若き主人公の話だったとは言え、不倫が主軸になった物語をここまで綺麗に終わらせられるなんて。「500日のサマー」の監督だけあって不思議な映画を見せられた。
和桜

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