ルイまる子

さよなら、僕のマンハッタンのルイまる子のレビュー・感想・評価

3.8
原題The only living boy in New York たった一人のニューヨークで生きている男の子という意味の様ですが、(The only boy living in NY?じゃないの?敢えてliving boyと倒置してるのは「生き残っている」と言いたいのか?又は活き活きとした?のダブルミーニングか?私が受ける印象はニューヨークでしか(他の土地に住んだことのない)男の子、の方がぴったり来ます。そしてまたダブルトリプルの意味があります。サイモンとガーファンクルの曲名ですがネタバレになるので。。。説明は省きます。

男の子と言うにはちょっと歳取ってますが印象では昔の18歳くらいの感じ、最後の30分まではこの幼なく見える大学卒業すぐくらいの男の成長期。お父さんの愛人との恋(光源氏や、ツルゲーネフ「初恋」など古典通りの筋)それにマンハッタンという限定された狭い場所での話だからよくある事なのかも。生き馬の目を抜く世界、勝者ばかりが集まる狭い地域でハンターみたいに男を漁る女はいつの世にもよく居るし父と息子の二股という世にも気持ち悪い話は大都会ではありそう。日本でも港区の中でなら同じ女が億男を渡り歩くのはあることあること。。又、最初のガールフレンドにしても他にバンドの彼氏が(正妻いや正夫?が居て自分が妾夫だったわけだから彼も始めからマンハッタン病に毒されている。最初から主人公も一夫一婦制の価値を持ってはいなかったのだが)。

ストーリーは単純。最後はいかにもアメリカ的なハッピーエンド。
上手い具合に全てが収まり、それまでの長いストーリーとの繋がりがな〜んか安物くさい結末で、よくあるアメリカドラマ(リッチ層の高校生やその親が絡む)みたいな仕上がりです。でもある意味ミステリーが最後解け繋がった安心感を受ける人も多いかも。

セリフはなかなか良い。しかしNYのハイブローな方々がいかにもって感じで詩を暗唱しますがどうも板についてない。厳しい事言うと、詩を詠む時は1万回くらい暗唱してから言葉にしないと自然さが感じられない。監督がマーク・ウェブ。「(500日)のサマー」と「ギフテッド」を見たが二作ともにニューヨークのハイソ出身の人物が出ているが、監督はそういう世界がお好きなのか、はたまた批判めいた目でみていらっしゃるのかは分からないが詳しそうではある。

【ここからネタバレ】

好きなシーンは愛人のジョハンナが主人公に2度目に会った時受ける失礼な振る舞いを叱るシーン。子供を叱る母親のように怒りをこめトーマスを詰る二人のやり取り。

「あんたってまだまだ何も知らないガキなのよ!」
「いや、僕にも知ってることはあるよ」
「例えば?」
「君がどうやって僕の父を落としたか解る。早起きの父がいつも朝7時に会社に行く事を知っていた君は、自分も7時に出社した、なぜそんなに早いかと訊かれ不眠症だと答え外見とのギャップを父に印象付けるetc...
実際はグーグー寝れるんだろ?」この下りは最高!!!!!
スクリーン見ながら目を丸くした。
ガキのようで実はこんなにも洞察力ある、彼は実は人の心を全てを読み取れる作家だった!!
これは素晴らしい才能を視聴者も初めて見せられた場面だった!

S&Cのミランダが母親役で出ている(ミランダのイメージ強すぎて苦笑)。

主人公の謎の隣人を演じるジェフ・ブリッジズは若い頃セクシーな金髪の荒くれ者で一部に絶大な人気があった(「キングコング」「ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」あと題名忘れましたがジョーズの二番煎じみたいな映画にも出ていた)。私の考えでは、嘗てのワル(ヤクザの一歩手前、又はドラッグまみれみたいな暮らししてた人)は更生後魅力的になる事も多いが、ブリッジズもそのタイプだった。しかし10代後半や20代前半バカやっても、その後魅力的な老年になる条件としては知能高くその上勤勉努力型で30~60代生きてないといけない。例えばパチーノやデニーロを除きコッポラが70,80年代、今で言うイケメンのティーンを発掘し大量に世に送り出した中で(「ランブルフィッシュ」や「アウトサイダー」など)マット・ディロン、トム・クルーズ、ロブ・ロウ、ラルフ・マッチョ等、トムは遥か次元の違う大スターとなり(才能努力が桁違い)マット・ディロンは嘗て絶大な人気だったがおじさんになってからは映画に出ているか?見たこと無いが。。。ロブ・ロウに至っては今では誰もその名を聞いたことがないのでは…正直、ジェフ・ブリッジズもロブ・ロウに似た努力しない系クラスタだと思っていたが、結構魅力的なおじいさんになったものだ。金髪が白髪となり黒のスーツ、中に仕立ての良い白いシャツを前ボタン開けてきれいに着こなせる品がある、何か含みあるニュアンス、皺が愛情深い、素敵なおじいさんになっていて、自分としては結構嬉しかった。

追記:すみません汗 ニック・ノルティと混同していました。ニック・ノルティはロブ・ロウ風ヤサグレ男でしたが、ジェフ・ブリッジスは若い頃から気骨のある感じの努力型俳優でしたね!サメ映画はニック・ノルティが出た「The Deep」の事でした!
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