エソラゴト

バグダッド・カフェ 完全版のエソラゴトのレビュー・感想・評価

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昨年2019年4/27に日本公開30周年を記念してパーシー・アドロン監督自ら再び監修した4K修復版が発売された。

初見は1980年代にレンタルビデオで、2回目は1994年に完全版を劇場で、その後DVDで何年か一度の割合で観ている程のお気に入りの作品。

燦々と降り注ぐ太陽と真っさらな青空の下、荒涼とした砂漠地帯にポツンと一軒家ならぬうらぶれたカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンド、"バグダッド・カフェ"がひっそりと建っている。

そんなカフェに集まるのはクセの強い常連客と彼らを相手に店を切り盛りする女主人のブレンダ。いつも何かに当たり散らしていて乾ききった砂漠のような心持ちや荒んだ表情の彼女。

そこに突如現れたドイツ人旅行者ヤスミンの世話好きで人懐っこい自然な立ち振る舞いによってみるみるうちにブレンダを始めみんなが潤いに満ちた穏やかな笑顔に変わっていく様はいつ観ても心が洗われる。

そして心洗われるもう一つの大きな要素は挿入歌である「コーリング・ユー」
ここまで映像と楽曲が見事にマッチしている作品も他に類を見ないだろう。


劇中、物語のシンボルとして何度も映し出される給水塔を模した今回のスチールブック仕様や封入特典の24Pブックレット、ROSENHEIMステッカーなども凝った作りで気が利いている。また映像特典として監督&脚本のパーシー&エレオノーレ・アドロン夫妻が孫娘たちを連れて彼の地を再訪する「バグダッドへの旅」というショートフィルムが収録されていて、これがまたファンには堪らない内容になっている。