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伊藤くん A to EのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

伊藤くん A to E(2017年製作の映画)
1.5
【小説特化型の面白さ映画にトレース不可】
今年の初めに公開されるも、映画ファンから酷評が相次いだ作品。意を決して観た、、、アカンかった。

ワースト映画としての吹っ切れ感すらない微妙オブ微妙でした。

原作は未読ながらも、明らかに文章としての面白さを追求した小説の映像化であり、相当な技量を必要とすることが冒頭10分で分かるのだ。伊藤誠二郎は何者なのか、矢崎莉桜の正体はなんなのか、読者の推測でもって面白さが増幅されるので、映画という、ヴィジュアルの娯楽とは相性最悪なのだ。そんなこと廣木隆一監督も分かっているらしく、セリフに彼の苦痛の叫びが見え隠れしている。

さて、作品の内容だが、スランプのシナリオライターが、セミナーで集まった幸薄い女たちの恋愛遍歴をドラマの脚本にしようとするもの。シナリオライターのクズさ、ゴミさ、ダストシュートに投げ入れたくなる汚物感。木村文乃の迫真怪演もあって、妙にリアリティがある。ああいう幸薄いのに、自分は幸薄くないと格下を見下すことで自己を保とうとするイタイ奴いるよ。正直、伊藤くんよりタチが悪い。

ただ、本作に出てくる人たちに全く魅力がないのが致命的。クズで不器用な人物は、なんだか許せてしまう側面、愛らしさがなければただただ辛いもの。ドラマのような軽妙さをもっているのなら尚更。

監督は事前に『アルフィー』を徹底分析する必要あったのではと感じた。

P.S.ドラマ版は意外と面白いらしいよ
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