晴れない空の降らない雨

ドナルドの海水浴の晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

ドナルドの海水浴(1939年製作の映画)
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 のちにハミルトン・ラスクやウィルフレッド・ジャクソンらとともに長編を指揮しつづけるクライド・ジェロニミの初監督作品。1930年代初めにはすっかり国民的キャラクターとなったミッキーは以前ほど破天荒なふるまいが許されなくなってしまった。かわりにやりたい放題(&やられ放題)のドナルドが人気を博したのだった。本作はそんなドナルドを主役にした短編シリーズのひとつで、ドナルドとプルートという珍しい組み合わせ(ミッキーのペットであるプルートがドナルドと二人で海水浴に行くのはおかしい話だ)。
 
 ギャグはあまりピンと来ないというか、グーフォーをからかい倒すドナルドに少しイラッとくる。前半のゴム製の馬パートと、後半のアリ退治→ハエ取り紙パートがぷっつりと切れちゃっているので、話のつくりがあまり巧くないと感じてしまう。ちなみにプルートにハエ取り紙がくっつくのは名高い『プルートの大暴れ』と全く同じネタ。多分、同じくノーマン・ファーガソンがプルートをアニメートしていると思う。
 
 話はともかく、大した儲けにならない短編でもこのクオリティで量産しつづけるディズニーに感動する。前半はずっと海でアクションするのだが、もっとずっと簡略化できるのに、波や波紋、水しぶきなどが毎ショット手抜かりない。キャラの動きに合わせて、現実以上によく跳ねたり垂れたりする。長編と違って短編はキャラが続投するので、担当のアニメーターは継続的に腕を磨いていき、そして名人芸の域に達する。よく動くというだけでなく、キャラの性格を反映させたりとか、タイミングや絶妙な誇張の度合いなどが、眺めていて実に気持ちよいのだ。
 アリがインディアン風なのは今日のPC文化からすると問題ありそう。個人的にはどうでもいいけど。口に手のひらを当ててハワワワワと仲間を呼び寄せたり、食べ物囲んで踊ったりするのが面白い。