しゅん

夏の娘たち~ひめごと~のしゅんのレビュー・感想・評価

夏の娘たち~ひめごと~(2017年製作の映画)
4.0
主人公のお母さんが旅館の廊下を走るところを前から後ろから映す映像をはじめ、つなぎ方のストレンジ感が半端ない。とにかく、めっちゃ変な映画。長野の上田と伊那を舞台にした近親相姦がテーマの恋愛劇を平田オリザ以降のセリフ感覚で展開させていくんだけど、ストーリーの重要な部分は大胆にカットされるし、色んな人がどんどんセックスするし、一体何を見ているんだろうという気持ちになる。アピチャッポンやペドロコスタの映画が「スローシネマ」と呼ばれたりするけど、本作の急速な展開と極端な省略は「ファストシネマ」と呼ぶに相応しい。同じような演出をしてる人を60年代の鈴木清順しか知らないのだが、他にもいるのだろうか?速さと静けさが同居する感じがとても新鮮で、人間の業の描き方としてとても誠実なんじゃないかと思う。同じシーンなのにカット割りのタイミングで音がぶつぎりになったり、逆にシーン転換してるのに蝉の声が継続してたりと、ソニマージュ的な演出も見事。ズームの使い方もヤバかった。
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