小

パーフェクト・レボリューションの小のレビュー・感想・評価

3.8
マイノリティを主人公に描く映画は実存主義的な物語になることが多いと思うけれど、本作もそう。困難と思われることを実現し、不可能を可能にしていくことにこそ価値があるということがテーマ。

脳性マヒを患う主人公は障害者という世間一般のレッテルに抗い、自らの性欲が健常者と何も変わらないことを赤裸々に示すことで、そのレッテルを相対化しようとする。しかし、自分には結婚も子供を持つことも無理、第一車いすで段差を飛ぶことだってできないのにと考えている主人公も、実は知らず知らずのうちに、そのレッテルの影響下にある。

そんな主人公が人格障害を抱えながらもストレートに幸せを追求する風俗嬢と恋に落ちることで、自分にとって何が良いことで、心地よいことかをはっきり理解する。そして世間の常識で自分を障害者として“解釈”し、自ら限界を決めていたことに気づく。

ラストは好き嫌いがわかれるみたいだけれど、自分的には壁を破った2人が『パーフェクト・レボリューション』を達成した瞬間なのだと思った。大げさに言えば「力への意志」を行動で示した「芸術」という感じなのだけれど、どうだろう。

●物語(50%×3.5):1.75
・厚みはないけど好き。構成も上手い気がする。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・憑依型のリリー・フランキーさんの演技が圧巻。清野菜名さんもイイ。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・2人のダンスシーンが好き。
小