Yukenz

ラッカは静かに虐殺されているのYukenzのレビュー・感想・評価

4.0
アマプラのおすすめに出てきた事で本作を知った。一時期世の中の話題を独占していた過激思想集団イスラム国(IS)の残虐性を、SNSを通じて世界に発信し続けた現地発生の市民ジャーナリスト集団RBSSの活動を描いたドキュメンタリー映画だという。監督はあの衝撃の作品「カルテルランド」と同じマシュー・ハイネマンだということは見た後に知った。ドキュメンタリー作品ではあるが構成や演出もしっかりしていて、なるほどなと納得。

さて本編はとてもズシリとくる内容。人間の命を何とも思わないような公開処刑シーンや、RBSSメンバーの家族がその標的にされるなど目を覆いたくなる。それでも活動をやめようとしないのは彼らの思いが本気であり、たとえ自らの命が絶たれても(国外の逃亡先にまで魔の手は伸びている!)RBSSの思想と行動は続いていくと確信しているから。
日々戦火に怯えながらも家族や仲間たちを守り生きていく為には、人は強くならざるを得ない。

遠く離れた平和な日本では到底思いも及ばないようなシビアな内容だが、事態を正しく理解しておくことは大局を見誤らないためにも絶対に必要だと思う。

そしてスマホやSNSの威力はものすごく、世界を動かすきっかけになることを改めて認識した。決して誤った使い方をしてはいけない。

いま(2021年2月13日)ネットでISの現在を検索すると、先月21日にイラクのバグダッドで2度の自爆攻撃があり少なくとも32人が死亡100人以上が負傷し、過激派組織ISが犯行声明を出しているとの記事があった。
昨年8月の国連の報告書によると、推定1万人以上のIS戦闘員がイラクとシリアで活動を続けているという。
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作中のインタビューコメントにあった「ISは思想であり、思想は集団が消えても永遠に続く」がとても重く感じた。
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