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ラッカは静かに虐殺されているのkyokoのレビュー・感想・評価

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シリア内戦のさなか、反体制派のひとつであったISはラッカを「イスラム国の首都である」と宣言した。ISによって破壊されていくラッカの街並み、処刑される人々、子どもへの洗脳……市民ジャーナリスト団体RBSS/Raqqa is Being Slaughtered Silently(ラッカは静かに虐殺されている)は主にスマホを使って撮影し、ラッカの現状を世界に配信し続けた。彼らが2015年に国際報道自由賞を受賞したシーンからこのドキュメンタリーは始まる。

同じ監督による「カルテル・ランド」では、その内容のえげつなさに驚愕すると同時に、個人的にはなんだかバタバタしていて、最終的には人間の「愚」を見せつけられた印象の作品だったが、一転こちらは全体的に静かで淡々とした雰囲気がある。
かなりショッキングな処刑シーンがあるにもかかわらず、だ。
(IS側が撮ったものはやたらと凝った編集にしていて、まるでフィクションのようだけど)

それはRBSSメンバーが持つ雰囲気によるものだろう。
ISによって家族や仲間を殺され、自分の身も常に死の恐怖にさらされているにもかかわらず、故郷を取り戻したい、ただそれだけを願う彼らの凛としたまなざしと、静かに流れる涙が、決して揺るがない決意の強さを物語っている。


去年ロシアによって「シリア全域におけるIS壊滅宣言」がされたけど、実際のところはどうなんだろう。
劇中にあったドイツの移民排斥運動(ドイツだけではないけれど)が象徴する移民問題や、思想によるテロの危険性はまだ厳然として世界中にある。
それでもこの作品によって多くの人が彼らの活動を知ることは、世界を動かすひとつのきっかけになりうると思った。