りめんばーみー

ラッカは静かに虐殺されているのりめんばーみーのレビュー・感想・評価

4.5
『ラッカは静かに虐殺されている』鑑賞。

これは絶対に見たほうが良い。

【衝撃】
まず、シリアのアサド政権のことが描かれ、革命後にすぐにそこを制圧したイスラム国から衝撃がはじまる。
ナチスで行われた虐殺が今もすぐそこで起こっている衝撃。

広場で跪く男性3人になんのためらいも無く、頭を撃ち抜く。
何体もの遺体の後ろに断首された首が広場の柵に。それを見ている民衆。
公開処刑される映像に涙を流さず、逆に怒りに口から血を流す。
子供のシーン、ぬいぐるみのシーン、これが現実なのか!?と衝撃が走る。
なんかもう、言葉にならない。

【涙のない人々】
また、この映画はとても涙が少ない。爆撃に、虐殺に、人が殺されているのに泣いている人はほとんどいない。
前述の、怒りに口から血を流すシーンも涙は無く、無表情にすら思える。
だからこそ、これがシリアの現実なのだと突きつけられる。

【描くことを許さない現状】
ドキュメントとしての弱点がある。それはシリアに残る国内組の活動がいまいち伝わってこないこと。
いや、詳細に伝えれば彼らを危険にさらすため、伝えられないのだ。
なので作品としては弱点でもあるのだか、これが現状でできる最高のものであり、それを含めての作品なのだ。

いつかシリアが平和になったとき、シリアに残った人達(国内組)の活躍が映画となることを心の底から願う。
りめんばーみー

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