あい

ラッカは静かに虐殺されているのあいのレビュー・感想・評価

4.5
もしも自分がシリアにいたら生きていたら、真っ先にISに入隊していたような気がして足がすくむ。
いずれにせよ、大切なひとの命を奪うことに代わりはないのだとしたら、わたしは自分の命を守る選択をしないと、どうして言い切れるだろう。
彼らにとっての死が、どちらも「殉職」という正義なのだとしたら、どうやって、この状況を変えることができるだろう。

最近読んだ、辺見庸と坂本龍一の対談の中で、「体を張ってでも、思想を守り抜けるかどうか」という議論がされていて、わたしはそうでありたいと思うも、そんなこと、今の日本でどんなに声高に唱えようたってなんの説得力もない。

テロの脅威に晒されながら、移民・難民排斥を叫ぶドイツ人を非難する気持ちも、その憎しみを向けられてさらなる暴力に晒されるムスリムの気持ちも、悲しくて悔しくて、わたしはもう、正義にも死にも縋れない。
渋谷の真ん中で座り込んでしまいそうだったわたしの手の中にあるペンとカメラは、なんて軟弱なものだろう。
RBSSメンバーが集まる場面で、この中に密告者がいるんじゃないか、と疑った自分が心底情けなかった。
あい

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