静かなタッチのドキュメントだったが、今まで知らなかった彼らの闘いを知り、考えさせられた。
泣いたり喚いたりしない静かな苦しみと悲しみがあった。祖国の為に闘うことが生きる目的である彼らの姿は、娯楽や自由が約束された日本人のわたしには異世界のものに見える。
国を点々とし、祖国の人々の為に世界へ認知と理解、協力を求める生き方は、現代の釈迦やイエスのようにも思える。
「神から与えられた善の力で、向かわなければならない」という彼の言葉が印象的だった。
沢山の子供たちが訳もわからず殺人組織へと洗脳されてゆく中で、祖国の人々の現状を世界へ発信し、励まし、決起を促す姿は勇敢で地道だ。
一人一人の持つ「善の力」を「神から与えられたもの」とし、人々の勇気を信じるRBSSの活動は、ひたすら祖国の人々の為に心血を注ぐ尊いものだと感じた。
イスラムの人々を一括りに、「残忍そう」「宗教の為に命を奪う」という勝手な偏見があったが、決してそうではなく、それに抵抗する人々がいることを知った。
何も分からないままISISに洗脳されてゆく黒い旗を持たされた子供たちの笑顔が苦しかった。
小さな命が爆弾とされてゆくような残酷な組織を、彼らが発信してくれることで我々も認知し、一つでも理解を深めることが、遠く離れた我々にできる些細な変化なのかもしれない。
何もイスラムに限ったことではなく、身近にそういう危険が潜んでいるかもしれず、もしも日本が黒いものに呑み込まれそうになっているのに気づいたら、自分の中の「善の力」で行動できる人になりたいと、思わせられる作品だった。
映画として「面白い、面白くない」という基準では評価ができない、シリアスな内容だった。