このレビューはネタバレを含みます
この作品のインディペンデントな雰囲気に、豪華な実力派俳優陣がいまひとつハマらず、逆に浮いて見えたような印象で、ちょっともったいなく感じた。
しかし、それぞれの役者さんたちの演技と存在感はもちろん文句なしで、特に菜葉菜さんの静かなる熱演には引き込まれた。
終始寒々しくどんよりとした風景と雪の深さは、埋もれそうな不安感や生きづらさを表しているかのよう。
雪が印象的な映画って幾つか思い浮かぶけど、これもその一つとして記憶に残りそう。
ストーリー的には、昨今の気持ちの重くなるニュースを思い浮かべたり、人それぞれに色んな解釈のできるような余白のある見せ方で、考えさせられる作品であると思う。
しかし、わかりにくいところも多くて謎が残るぶん、モヤッとしちゃう感じ。
不思議なインパクトを残すような幻想的なラストカットが、妙に心に焼き付いてる。
鑑賞後の舞台挨拶では、甲斐さやか監督と永瀬正敏さん、菜葉菜さんのお話から、この作品への愛がひしひし伝わってきてほっこりしました。
観た直後はモヤッとしていた部分も、いろいろとお話を聞いているうちに、なるほどな~とじわじわと腑に落ちてくる感じがとても良かった。
心につもり積もっていた感情や、それぞれの生いたち、その日の天気や、その時にふと芽生えた感情などなど…
いろんな要素やタイミングが重なって予期せぬことが起こりえるということ、それを表現したかった…というようなことを監督がおっしゃっていたのが印象的でした。
ラストシーンへのそれぞれの解釈が聞けたのも、とても興味深くて面白かった。
井浦新氏の解釈も、聞いてみたかったな~。