赤い雪 Red Snowの中庭のレビュー・感想・評価

忌まわしいことが起きたというイメージが集約される場所としてあのアパートの全景があり、二階の部屋のドアがあり、階下には錆びが溜まったような赤色の地面がある。記憶という曖昧模糊とした場面風景で、ホワイトアウトの彼方に消えそうで消えずに写り続ける走る何者かの背中が良かった。白雪の中、声も風の向こうに遠く聞こえる音響処理のなかで菜葉菜と永瀬正敏が取っ組み合うあのシークェンスに何が足りなかったのか、もしくは何がありすぎたのか。『ジェリー』や『ウインド・リバー』を見返すなどして考えてみたい。