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ディーンのGreenTのレビュー・感想・評価

ディーン(2016年製作の映画)
2.5
主人公のディーンがイラストレーターなので、劇中に挿入される、「ディーンのフィーリングを表すイラスト」が面白くて、最後まで観ちゃいました。こんな風にサラサラ絵が描けたら楽しいなあ!って思って。自分でグリーティングカードとか作れちゃう!

ディーンは20代後半?30代前半?くらいのイラストレーターで、ニューヨーク在住。出版する本のイラストが描けない。ディーンはお母さんを病気で亡くしたばっかりで、一人になってしまった父親のことを心配しているが、自分もちょっと鬱っぽくて、父親との関係がギクシャクしている。

このディーンを演じるディミトリ・マーティンって人が監督・脚本もやっているのですが、なんか知る人ぞ知る有名なコメディアンらしいです。映画はオフビートなコメディと言っていいと思うのですが、ディミトリ―がやってるTVショウの味を踏襲しているらしく、ファンの人からは結構評価高い。

私の印象では、なんか結構笑うところはあった。基本的にディーンが冴えない、モテないタイプで、ちょっと変な人っぽいところが面白い。他の人が感想で、「ふかわりょうを思わせる」って書いていて爆笑しました。確かにそういうイメージ!!

LAに住む女優崩れの友達レベッカが、ディーンには全くその気がないのに勝手に「私はそういう気はないから」って高飛車に言うシーンとかめちゃ笑った。

なんだけど、お話自体はなんだかとりとめがなくて、ピンとこない。

ディーンのお父さん役がケヴィン・クラインなんだけど、この人はオフビートって言うより責めのギャグ(『殺したいほどアイラブユ―』とか『ワンダとダイヤと優しい奴ら』みたいな)方がイメージ的に強いので、ミスキャストだなあって思った。

ディーンのお父さんが知り合う独身女性がこれまた懐かしいメアリー・スティーンバージェンなんだけど、この人とケヴィン・クラインの会話なんて、「もしかしてこれ全部アドリブなんじゃ?」ってくらい居心地悪くて、この「初老の男女」の恋の行方は全く興味湧かなかったしなあ。

エリックというディーンの友達の飼い猫が死んで、それにディーンがお悔やみの手紙を送り、それが最後にナレーションされるんだけど、ディーンが自分の母親の死を乗り越えたことを踏まえてエリックに「君の悲しみはわかるよ」的なことを言い、ディーンは自分の父親の前で涙することができ・・・・と、「愛する人の死にどう向き合うか」みたいなテーマらしいんだけど、ワタシ的にはこのラスト「?」ってなった。

ディミトリ・マーティンは、自分が若い時(小さい時?)に両親だか片親だかを亡くしているらしく、その気持ちを映画にしたかったらしいのだが、ディーンとその父親が「母親/妻の死を悼んでいて、親子間がギクシャクする、変な行動に出る」っての、全く私には刺さらなかったので、最後涙の和解、みたいのに「?」ってなっちゃった。

なので、身内の死を経験したことがある人や、ディミトリ・マーティンの表現方法がツボな人に取っては「笑って泣ける」ような映画なのかもしれない。

ワタシ的には最近のディープな超大作を観る気が起きないので、こういう小作品は今は心地いいな~って感じの作品でした。
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