10円様

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結の10円様のレビュー・感想・評価

3.8
 ジェームズガン監督の超名作。「スーパー!」のDNAを受け継ぎながら、より大衆的に、暴力的に、ポップに描いた遊び心満点の一作でした!ジョーダンテが「グレムリン2」の監督を依頼された時、「何をやっても良い」と破格の条件を出されたらしいですが、今作もガン招聘に際して彼には「誰を殺しても良い」との最高の条件が出されたらしいですね。ガン監督はこの条件をあます事無く使っています。
 アメリカでの本作の興行収入成績は、コロナ禍とはいえ決して芳しいものでは無かったです。「ブラックウィドウ」の興行を観るとその差は明らかで、またMCUに大きく水をあけられてしまいましたが、本来ガン監督は大衆的映画で本領をする監督ではありません。しかしDCEUの路線変更というテコ入れという事を考えれば内容的にも迫力的にも大成功していると思いました。

 まず話が分かりやすすぎて良い!
ストーリーがあっちこっちに飛ぶ事はなく、最初に目的の説明があり、そこに辿り着くまで寄り道する事なく話が進みます。その中で本作の最大の魅力であるキャラクターをふんだんに見せてくれてました。どのキャラも魅力的だったのですが、やはりハーレイクインはシリーズを通して存在感があり、エアー版スースクの唯一の成功例を再度実感しました。

 ダーク調の中にある笑えないギャグ
本作のギャグパートはかなりふざけてます!ふざけすぎです。しかも笑って良いのか悪いのか分からない!喜劇と暴力が上手く混ざりあった結果、こんな苦笑い的な罪悪感満点の笑いを生み出しました。ブラッドスポートとピースメーカーがお互い張り合いながら敵をゆっくり殲滅するシーンはコメディ色が強いのですが、その暴力やストーリーを観るに、「笑えね〜」ってのが一番の感想です。まあ笑いましたけどね。
 ただ一番笑ったシーンは、本作はアメリカではR指定(17歳未満は鑑賞禁止)を食らっているんですが、その理由の一つに「生々しいヌード」ってのがあるんですね。作中では「おっ〜と!そっちか!」ってシーンがあり、もう誰得?ガン監督の悪ノリ全開がレーティングを上げてしまいました。

 ティーゼルが可愛い!
ディーゼルとは子どもを27人殺したイタチなんですが、こいつ可愛いです。いろんな意味で本作の1番目立っているし、本作のカラーをその存在だけで証明してくれた最高のキャラクターでした。
 あと冒頭でマイケルルーカー、ラットキャッチャー2の父親役でタイカワイティティが出てくる事も熱かったですね。MCUに関わる人が3人!あ、イドリスエルバもだから4人…スタローンもか!探せばもっといそうですね!

 ってなわけでエアー版のスーサイドスクワッドが合わなかった多くの人でも十分に受け入れられる作品となったのではないでしょうか?当時ディズニーにMCUを解雇されたガン監督の復讐は大成功。よく遊べたんではないかなと思います。紆余曲折ありMCUにも復帰して、今度は王道のガン監督作品を楽しめます。今後の映画界も期待できますね!
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