しゅんまつもと

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

4.3
これが別の監督の映画なら、頻出する"鳥"や"ネズミ"のモチーフは空と地上(もしくは地下)という上下の関係をイメージさせるだけのものにすぎないけれど、この映画を撮ったのは他の誰でもないジェームズ・ガンその人だ。

だとすると、次々人が無惨に死んでいくこの映画の中で一番最初に血を流すのが"鳥"であることからはTwitterに対する想いを想像してしまうし、中盤から後半にかけて重要な役割を担いつつ、如何にして付き合っていくかを提示していく"ネズミ"からはDisneyを想像してしまう。
怪獣として登場するスターロは巨大な眼で街を監視し、多くの人を洗脳する。ここから何を想像するかは2021年現在の現実を見れば言うまでもない。

それだけ、このスーサイド・スクワッドはジェームズ・ガンの個人的な映画として色濃く描かれている。
そしてそれが自分に関係ないことかと言うと全くそうではない。頭を空っぽにしてとか、何も考えずに、とかそんな楽しみ方は到底出来ない。

しかし最初に触れた通り、この映画は終始上にあるものが下に落ちていく映画でもある。
だからこそ「下からしか見えないもの」を見せていく映画でもある。生きる価値のない人なんていないし、過ちを償えない人なんていない。許すことができないなんて、そんなに悲しいことはないんだから。
たった一言だけあるタイカ・ワイティティの台詞を多くの人が受け止めることが出来ればきっともっと良い方に世界は向かっていくはずだと信じたい。

しかしまあとんでもない激キモ映画でもある。