ベビーパウダー山崎

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

4.0
バカとキチガイと奇形しか出てこないフリークスの戦争映画。ホモソの閉じた関係性でじゃれあっているので、女王マーゴット・ロビーのくだりだけ明らかに遠慮して腰が引けている。いまの時代、ゴリゴリの男の子映画を撮れるのタラ坊とジェームズ・ガンぐらいじゃない?
キャンセルカルチャーくらってもこれだけ大きな映画を任されるのは才能なのかよっぽど人材不足なのか、まあ結局は大人になりきれない子供なおっさんらがママ(アマンダ・ウォラー)に叱られないようにごっこ遊びをしているだけだったが、弱者が抵抗し、立ち上がり、最後は勝利する「映画」をそれなりに真剣に撮ってはいて、虐げられてきた者たちがこの生き方で間違いではなかったと自分自身を認める(愛せる)瞬間を描くのがガン映画の肝なので、現代的な正しさへと安易にすり寄り、その媚びた態度だけで評価されるくだらない作り手より大分マシだとは思う。娯楽は大衆のためではあるが、どれだけ個人が表現と向き合えるか。
時間軸はジャンプしまくり、場面場面でトーンもばらばら、頭の天辺から足の爪先まですべて残さず召し上がれみたいな作りは、飽きないけど胃はもたれる。トロマあがりで退屈を恐れる姿勢は分からないでもないが、そろそろ王道に対しての邪道でぼろ勝ちしてきた攻めかたも厳しく、次の大作は『スーパー!』ぐらい突き放すか、緩急つけて完成度をあげていくしかないと思うのでポランスキーばりに図々しく開き直ってもっと大衆を殺しにきてほしい。