このレビューはネタバレを含みます
やはりドキュメンタリー映画はすごい🎬
世界一ゴッホの絵を描いた男って?
とても気になった・・・
オープニングから私は、ないない、あり得ない、と、嘲笑うようにケラケラ笑いながら鑑賞し始めた。
贋作、模写、複製画、
著作権切れの物も、そうでない物もごちゃ混ぜになっている。
未開放地区から出稼ぎでこの街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年もの間、深圳市大芬(ダーフェン)でゴッホの複製画を描き続けている。という彼のヒューマンストーリー。
私は深圳市大芬(ダーフェン)の「油画村」をまったく知らなかった。
本物の絵画は画集などとは比べ物にならない、まず色が違うし伝わるエナジーが半端ない。
だからこそ美術館に足を運ぶのだ。と、
思いながら今作を期待半分くらいで観ていた。
しかし話はなんだか違う方向に、
主人公の男性が取引先のオランダに出向くというではないか?
本物のゴッホを見た事もない男が20年もゴッホを描き続けている。
なんだかとても不安になった、
不安的中😩
彼の書いた絵は土産物屋で無造作に売られ、卸値の10倍以上の価格で売られている。そりゃそうでしょう、
美術館で本物のゴッホを目の当たりにした彼の驚き様はほんと見ていて辛かった。
そして男性の落胆する様子が想像以上に辛そうで、現実を知らない方が良かったのでは?
とさえも思った。
未開放地区で生まれ、中学も碌に出ていない、無学の彼が出稼ぎで絵を描き始め、搾取された労働者として暮らした20年。
オランダの地、フランスのゴッホの墓、
旅から帰った彼はゴッホの複製画に向かう自分と葛藤している、生きてゆくためには描き続けなければならない、
彼は全てを受け入れ、いつかはオリジナル作品へと、希望を見出す場面は少し心が熱くなった。
しかし、芸術家の世界は、ただですら厳しい世界、波瀾万丈です。
オリジナルを生み出す苦悩を知らずに模写し続けた人生って、やはり職人、労働者だと私は思う。
安い賃金でまるでロボットの様に油絵を描き続ける彼等の絵を取引先が搾取する、世界の格差、悲しい現実がそこにある。
厳しい言い方ですが彼は芸術家ではない。
ただ、オランダの地でゴッホを目にした後、心だけは芸術家になったのでは?
って気がしました。
ドキュメンタリー好きの私としては、ありのままの中国深圳市大芬(ダーフェン)の生活が見れてとても勉強になりました。