nhr703

世界で一番ゴッホを描いた男のnhr703のレビュー・感想・評価

3.8
中国でゴッホの複製画を月に何百枚と描きながら生計を立てている男の話。とても良いドキュメンタリーだけど辛かった…。

20年描いてきたゴッホ、ひとめで良いから本物を見たいと願う気持ち。金銭的になんとかなんとか工面して、家族も説得して、念願叶ってようやくアムステルダムへ。ここまでは良いんだ。キラキラの瞳、こぼれそうな笑顔。大人ってこんなに嬉しそうな顔するんだ、っていうようなはち切れそうな表情。ピュアな期待の気持ち。


でも、そこで現実を知る。
長年の付き合いがあったお店は高級な画廊かと思いきやただの土産物屋だったし、売値は卸価格の10倍以上。450元で販売したものが500ユーロで売られているという。直面したときの顔が切なすぎる…。


なにより、笑った顔の目尻のしわがうちの父親とそっくりすぎて勝手に泣けてしまった。。搾取される側なんだよなあ…。


本物のゴッホを目にして、やはり自分もオリジナルを描いてみたい、例え今は評価されなくても…という結びになるのだがそれも破滅に感じるしなあ、、複製画を描いてる時だってあんなに働いて、経営者の立場なのに飛行機代だってギリギリ。ホテルも予約すると高いからって現地で取ってたし。


でも、ドキュメンタリーとしてはとても良く出来てた。素晴らしい一作。NHKで短縮版をやってたそうで、もっと前に知りたかった。


友人に唐突に誘われてタイトル以外予備知識ゼロで観たから完全にくらってしまった。


それにしても複製画って誰に習わなくてもあんなに上手く描けるものなの??
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