Akiyoshi

バンブルビーのAkiyoshiのレビュー・感想・評価

バンブルビー(2018年製作の映画)
3.6
日本一どデカいスクリーンIMAXレーザー3Dエグゼクティブシートという贅沢な時間をトランスフォーマーコンテンツの新作に使うことができて幸せであったので多少の過大評価は入っておりますが、シリーズ初のスピンオフ作品「バンブルビー」。スティーブン・スピルバーグ×マイケル・ベイのオリジナルでは描けないものが本作品には確かにあった。

もはや爆発がお家芸ともなったマイケル・ベイのトランスフォーマーシリーズの根本的な魅力とは、「アメリカの典型的なティーンなら誰でも欲しがるもの」を描いたことである。では、欲しがるものとは何か?車と女の子である。アメリカの視点ではそれが青春に繋がり、シリーズ初期三部作(1、リベンジ、ダークサイドムーン)は主人公サムがトランスフォーマーとの出会いから成長していく物語である。

しかしまぁそれ以上の魅力は21世紀のSFアクションを代表するスぺクタルと、ロボットが動き変形して様々な爆発を生む姿が素晴らしい。毎度2時間を超えるその素晴らしさに視覚カロリーは満腹感を覚え、「つまらない」「ぐちゃぐちゃ」「長いだけ」と映画ファンを苦しめることがある。しかしファンは、マイケル・ベイからの「こういうの好きでしょ?」とのインパクトあるシーンたちを「大好き!」と受け取る。もちろん僕もだ。デザインのインパクトと爆発に何度も感動を覚えた。頭おかしくなったかと思った。

そんなシリーズがエピソード0のようなスピンオフを作った結果、青春映画として共感や80年代をリバイバルさせる世界観にて評価も高い作品を作り上げた。

監督はアメリカにて興行収益第2位の映画監督マイケル・ベイではなく、まさかのアニメ会社ライカの社長兼最高責任者である「トラヴィス・ナイト」である。彼は監督として、「KUBO クボ 2本の弦の秘密」で様々なアニメ映画賞を獲得し、アカデミー賞にもノミネートされた。トランスフォーマーのプロデューサーたちは彼の「ストーリーを際立たせる視覚的な出来栄えの良さ」に惹かれ、監督する上でそれを求めた。

脚本家クリスティーナ・ホドソンのストーリーが良かったのもあり、人への共感を訴えるストーリーを中心としてトランスフォーマー自体のキャラクター(主役であるバンブルビー)を掘り下げる深堀さが際立って見えた。今までのシリーズ作品があまりにも掘り下げてなかったから本作品が深掘りしたように見えただけなのかもしれないが……(笑)。とにかく主人公の女の子チャーリーとバンブルビーお互いの感情的な面を中心としたストーリーは今までに無かったトランスフォーマー作品となり古くて新しいものが現れたと感じた。

プロデューサーたちが求めたナイト監督の「ストーリーを際立たせる視覚的な出来栄えの良さ」は、共感とキャラの深掘りを中心とし、微妙なバンブルビーの動きや表情、少しの視覚効果が観客に対して影響を与えることの重要さを熟知しているかのように感じられた。例えばバンブルビーのうさぎのような耳の動きで、一気に雰囲気が穏やかになったり、本編が始まってすぐの展開で観客を熱くさせるものがある。これはマイケル・ベイの「こういうの好きでしょ?」という提示に似ており、僕らが観たいものを理解した上で誰にでも共感できるメッセージを送り込んでいるのだから凄いことだ。

始まりから終わりにかけても盛り上げはトランスフォーマーに任せるなど、緩急の付け方が上手くアニメみたいな構成なのが飽きさせることなく変化を楽しむ要因となっているように感じた。

やはり世代を超え繋がるオモチャ映画にはロマンを感じるし、トランスフォーマー特有の変形エモーショナルアクションには僕を少年時代へと戻してくれるワクワク感があると感じた。でもやっぱり誰がなんと言おうとも僕はマイケル・ベイのトランスフォーマーが好きだ(笑)。
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