河豚川ポンズ

バンブルビーの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

バンブルビー(2018年製作の映画)
4.0
トランスフォーマーなのに王道ど真ん中な映画。
某声優が言ってた「バンブルビーのママになれる」という言葉、今なら俺もはっきりとその心が理解できる。

1987年カリフォルニア、もうすぐ18歳になるチャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)は父親が亡くなった悲しみから立ち直りきれず、父親が遺した修理中の車をガレージに籠っては修理し続ける日々。
一方で母親(パメラ・アドロン)は新しい恋人のロン(スティーヴン・シュナイダー)を家に迎え入れ、完全に家族の中で取り残されてしまったチャーリーは、ある日廃品置き場で壊れた黄色いビートルを見つける。
早く自分の車が欲しかったチャーリーはその車を直す代わりに譲り受ける約束を取りつける。
亡くなった父親とよく車の修理をしていたこともあり、何とか修理して家へと持ち帰ることに成功する。
ようやく自分の車が手に入ったと喜んでいたのも束の間、突如そのビートルは変形しだすとヒト型のロボットに変身した。
突然のことで驚いたチャーリーだったが、どうやらそのロボットも記憶がないことで怯えているようだった。
チャーリーは彼に歩み寄り、彼に「バンブル・ビー」という名前を与えて、彼を匿うことにするのだった。


公開前からトランスフォーマーシリーズらしからぬ高評価でファンが困惑したり、実はまさかのシリーズリブートの1作目だったりと色々と話題に事欠かなかったこの映画。
実際観てみると、今までのシリーズでの如何に破壊しまくるか爆発させるかに命を懸けてるようなのとは対照的に、「ET」のように異性体との交流を経て青春や家族との悩みを描く、王道中の王道なジュブナイルものだった。
今までのトランスフォーマーも思い返してみればそんな要素が無いわけでも無いような気がするけど、確かにここまで前面に押し出してきたのは初めて。
そしてそのストーリーもしっかりとしていて、アクションのおまけにならず、むしろアクションがおまけに感じるほどに魅力あるものになってる。
伏線の張り方もうまくて、あるシーンでは絶妙なタイミングでそれを回収してきて」、しかもそれがストーリーとキャラクターの心情とリンクするという完ぺきさで、そこは本当に唸らされた。
ET役にあたるバンブルビーの愛らしさにも心打たれる人は多いと思う。
なんというかペット的な可愛さというかなんというか、とにかくかわいいと言われるのはめちゃくちゃ分かる。
今までのバンブルビーはお調子者のイメージだったけど、そこにチャーリーとの交流が組み合わさることで新たな魅力が開拓された。
ママになる…は言い過ぎかもしれないけど、そのチャーミングさがこの映画の大きな魅力には間違いない。
王道中の王道ってのは悪く言えば捻りが無いってことだけど、こういったところに高評価の理由があるのかも。

過去シリーズと比べて他に違うのは、圧倒的な見易さ。
ストーリーがジュブナイルものになったことで理解しやすさも格段に上がったわけだけど、映像面でもすごく見やすくなったと感じる。
変形のギミックが今まではごちゃごちゃしすぎてて何が何やら全然分からなかったけど、今作はわりかしシンプルで目も疲れにくかった。
そもそものデザインがアニメ寄りのようなシンプルなものになっているからなのかも。
オプティマス・プライムとかアニメそのまま、むしろコンボイ司令官。
それでも動き始めるとちゃんとかっこよく仕上がってるからすごい。
印象的だったのは今までのガンアクション中心だったのが、ガンガン殴り合って、しかも関節技も使ってたりとかなりテクニカルな戦い方してて面白かった。
ロボットに関節とかあるのか?というところが気になるけど、画が派手になるならもう何でもいいです、これで正解です。

確かに今までのシリーズに比べたら面白くなってることは疑いようのない事実なんだけど、観終わってから「でもやっぱ火薬の量が足りてないよなあ」となぜか残念に思ってしまう自分がどこかにいた。
製作にはちゃんとマイケル・ベイがいたのに、しかもあのトランスフォーマーなのに、マイケル・ベイ風味が足りないのはちょっと物足りないと感じてしまう。
完全に自分も知らず知らずのうちにマイケル・ベイに毒されてしまってたいたんだなあ。