おいちゃん

バンブルビーのおいちゃんのレビュー・感想・評価

バンブルビー(2018年製作の映画)
4.7
一言で表すなら「ミッション・インポッシブルにおけるゴーストプロトコル」。
最高のアニメーターがその能力を実写映画で存分に振えば素晴らしい作品が出来上がることの証明です。

監督は「KUBO」など、傑作ストップモーションアニメーションを生み出してきた制作会社ライカのトラヴィス・ナイト。

キメキメのエモい構図の画面は連発されるし、カットの連続性(繋ぎがうますぎる)もアクションシーンの見やすさに直結しており、非常にセンスのあるアニメーターたちの存在を感じました。

また、CGキャラクターであるバンブルビーに人格と命を吹き込み感情移入させる愛すべきキャラクターにさせたのは、人形劇アニメーションを得意とするトラヴィス・ナイトの能力が発揮された大きなポイントだと思います。


ただヒットソングを使えば〇〇年代風になるだろうと思ってる薄っぺらい映画が蔓延る昨今ですが、レトロオマージュで流れる音楽も選曲や使い所が全て愛に溢れつつ物語を構成するピースになっています。

トランスフォーマーたちの第1世代アニメ感といい、ポップカルチャーに対する監督のオタク的な「偏愛」を感じられるところも高ポイント。

物語を重視するトラヴィス・ナイトらしく、伏線の張り方は完璧。
散りばめた細かい要素が結末に向けて集約されていく気持ち良さ。
忘れた頃に飛び出す意外な伏線は、視聴者の無意識の認識を操る魔法のよう。
「なぜクボの三味線は弦が二本なのか」並みの激アツ展開を何度も見られます。


ヘイリー・スタインフェルドはキュートでそこにいないCGのバンブルビー相手の演技も抜群だし、相手役のジョージ・レンデボーグ・Jrも「スパイダーマン ホームカミング」「アリータ バトルエンジェル」を経て着実にキャリアを積んでる事を確認している若手のホープです。

なにより俺たちのジョン・シナの使い方が百点満点。
小粋なジョークを挟んだ軍事訓練や、デスクワーク中にディセプティコンの出現を知らされ「テキサスに行くぞ」と引き出しから突如銃を取り出しスライドを引く脳筋っぷり。
最後の敬礼は間違いなく「ネバーサレンダー 肉弾凶器」リスペクトです。(そう思う)


父親の死を乗り越えられない少女が、宇宙から来た金属生命体トランスフォーマーとの冒険を経て前に進めるようになるという一見奇抜な設定ながら、根幹は普遍的な友情の物語でもあります。
バンブルビーはチャーリーのために戦士の記憶を取り戻すし、チャーリーはバンブルビーのために飛ぶ。
キャラクターの成長の動機が全て自分ではなく誰かのためってのが熱い。

アクションやギャグの時間をたっぷり取ってるのに、視聴者が永遠に分かれて欲しくないと感じてしまう程に2人の関係を強固にしてしまう映画が2時間ないという恐ろしい事実。
どんな構成力ならここまで無駄なく総てを描ききれるのでしょう。

ベイのトランスフォーマーとは全く別物なのでトランスフォーマー史上最高!とは微妙に言いにくいですが、一番好きです。

設定が過去作と全く噛み合ってない?
まあ肩の力を抜けよ。
トランスフォーマーを見るのは初めてかい?
おいちゃん

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