イチロヲ

ズームアップ 暴行白書のイチロヲのレビュー・感想・評価

ズームアップ 暴行白書(1981年製作の映画)
3.5
大手企業の経営者(江角英明)を夫にもつ女性タレント(風祭ゆき)が、暴走族によるレイプ被害を契機にして、八方塞がりの境遇に置かれてしまう。報復の連鎖に巻き込まれた女性の孤軍奮闘ぶりを描いている、日活ロマンポルノ。飯干晃一原作。

周囲の人間関係を探る薄幸美人が、どういうわけか自分に矛先が向けられていることに勘づく。主人公の豪邸に従事しているメイド(平瀬りえ)とその恋人(河西健司)、そして偶然再会した旧友(川村真樹)を絡ませながら、人生の暗転劇が繰り広げられる。

中盤部に入ると、「どうして主人公が標的にされたのか」という謎部分に焦点を合わせた、サスペンス劇場の定番ストーリーが展開。「警察がダンマリは、さすがにおかしいでしょ」というツッコミが止まらなくなる。

痩身の女性が、女のしたたかさと脆弱さのシーソーゲームに挑みながら、最後の最後まで踏ん張っていく。風祭ゆきが醸し出す「退廃芸術」が極まっており、一挙手一投足に惹き付けられる。
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