Inagaquilala

ナインイレヴン 運命を分けた日のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.2
タイトルからもわかる通り、2001年9月11日に起きた、ニューヨークのワールド・トレード・センターで起きたテロ事件を題材とした作品。北棟の38階付近のエレベーターの閉じ込められた5人の脱出劇だ。離婚の話し合いに訪れた夫婦、恋人との別れを告げに来た女性、バイクメッセンジャーの男性、そしてビルの保全技術者である男性。偶然乗り合わせた5人の人間ドラマが、停止したエレベーターの中で次第に明らかになっていく。ビルの構造に詳しい保全技術者が乗り合わせているところが、すでに物語を安易にしているが、全体としてもややお手軽感はなくもない。

いろいろスキャンダルで騒がれたチャーリー・シーンの復帰作ということだが、やはりその話題は頭に散らついてしまって、いくら彼が英雄的行為を展開しても、その雑念からは逃れられない。いっそ今後は徹底的な悪役に徹するのも行き方ではあると思うのだが、このあたりはかなり難しい問題だ。彼は個人としてもかなりこの作品には思い込みがあるらしいのだが、やや空回りに終わっている感じはする。

監督のマルティン・ギギはアルゼンチンのブエノスアイレス生まれ人物で、まずピアニストとしてのキャリアがあったらしい。その後、音楽プロデューサーとも活躍していたらしいが、映画に関してはやや凡庸な感じがするし、オリジナルな独創性にも欠けるようだ。テレビの2時間ドラマを観ているかのようなお手軽な作品づくりばかり目についてしまう。期待して劇場まで足を運んだ作品だけにやや残念だ。
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