千年女優

希望のかなたの千年女優のレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.0
故郷シリアで起こった内戦で家族を失い、逃げ延びたフィンランドのヘルシンキで難民申請を行った青年カーリド。生き別れとなった妹との再会とフィンランドでの生活を願うも申請不認定となり当局やネオナチから追われる彼が、妻と別居して脱サラでレストラン経営を始めたヴィクストロムと出会って匿われる様を描いたコメディ映画です。

2002年公開の『過去のない男』では、共にフィンランド映画では初となるカンヌ国際映画祭でのグランプリ受賞とアカデミー賞の外国語映画賞へのノミネートを果たしたベテラン監督アキ・カウリスマキが作り上げた作品で、持ち味のユーモアが評価されてベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得するなど世界の批評家たちから高い評価を得ました。

2015年にピークを迎えた欧州難民危機に触発されて制作された作品でもあからさまな説教臭さは皆無で、お得意のフォーマットとテーマの相性も良くささやかながら人と人の間にある希望を描きます。そのかなたでは監督らしいバカバカしいユーモアを巧みに組み入れていて、さりげない他人への思いやりが心を温かくするキュートな一作です。
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