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希望のかなたのBaadのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.0
JAIHOの配信一覧を見て気になっていたカウリスマキ監督の映画。
今回はシリア難民の話らしい。←前作も難民の話だったというのは知りませんでした。

過去の有名な文学作品を下敷きにした映画しか見ていなかったのですが、久々にあの静謐な雰囲気を味わってみたくて、配信最終日に見ました。

妻と別れて家を出てレストランを始めた男の再出発と、シリア難民で、生き別れになった妹とたまたまたどり着いたフィンランドで生活したいと願っている青年の再出発が、ほぼ同じウエイトで語られます。

フィルムで撮っているのかと思えるほどクリアな画面、淡々と人々の生活とフィンランドや中東の音楽の演奏を撮っているだけなのですが、心惹かれます。

ヨーロッパのシリア難民の受け入れ方は一時ニュースなどで追っていたのですが、比較的受け入れていたフィンランドでも難民認定は難しく、申請を申し出た難民はしっかり施設で保護はするものの、国の費用で容赦なくおくりかえしちゃうんだ、というのは意外でした。

ニュースで送還先の町での民間施設爆撃が伝えられていてもああなのね。

日本の場合、虐待死などが起こるのは受け入れシステムに問題があるのでは?とちょっと思いました。

公の方では問題はあっても、実質的には日本の方がなんとなく移民や難民受け入れちゃってるんじゃない?と感じました。民間が努力しても公的機関のミスでああいうことが起きて社会問題になるのは、ニュースバリューが大きい事もあり、国の恥だよね。

働き手が足りなくて難民や移民を労働力として頼りにしているのはフィンランドも日本も同じなので、日本の同様のテーマの作品も見ていきたい。
そのための鍵を手に入れた気がします。

映画の物語も良かったです。
レストランオーナーの夫婦の在り方もなんかしみじみと良かった。
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