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希望のかなたのchiakihayashiのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.0
@試写

フィンランド名物(笑)のアキ・カウリスマキ監督作品の名物(?)と言えば、孤独な登場人物たちの能面ならぬ蝋人形のようなテッパンの無表情。それが、まさに陽を受けて蝋が溶けるかのように、彼女/彼らにほの明かりのような笑顔が浮かぶのを目撃することほど、至福の映画体験はない。

前作の『ル・アーブルの靴みがき』(2011)から難民問題へのコミットを明言しているカウリスマキ監督のこの新作では、もうひとりの主人公であるシリアからの難民カーリドが、フィンランド人とは全く異なる理由で無表情になる。風貌で目立つ難民は、陰気な顔をしていれば目障りだと街でネオナチに絡まれ、かといって愉しそうな顔をしていてもいけないのである。彼が入れられた難民収容施設で暮らすほとんどの人々は実に暗い無表情だ。そうでなくても故郷を後にせざるを得なかった過去を持ち、慣れない異国で未来を思い描けない身の上なら、どうしたって無表情になって戸惑いや不安を隠すしかない・・・・・・。

だからだろうか、そのカーリドが微かに笑う表情を見せるラストシーンには胸を突かれる。

ちなみにもうひとつ、爆笑もののシーンに全く違う無表情がちらっと登場する。そう、何事に対しても曖昧に笑っているだけの日本人の一群。いや、カウリスマキ監督自身は日本びいき、寿司びいきらしいデス。