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希望のかなたのMovingMoviesのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.5
難民の映画を今までたくさん見た気になっていた。
本作で初めて、自分が難民になったらどうするだろうか考えた。カーリドの妹のセリフを聞いた時だ。

カウリスマキ監督は、自分の国に住み続けられず逃げて来るという深刻な状況を、たっぷりのユーモアではさみこんで見せてくれる。

映画が始まると、二人の幼い子が親と一緒に後ろに滑り込んできた。子供は普通にしゃべり、お菓子をぼりぼり食べ、椅子は蹴るしで、参ったなと思っていた。僕の同じ列のひとりは咳ばらいを何度もしていたが、結局前の方へ移動した。僕は中央付近に座っていてそれもはばかられた。

しばらくしてこの子たちと一緒に映画を観ようと腹を決めた。家のソファーでこの子たちと映画を観ていると思えばそれでいい。そう思ったら自分が楽になった。

異なる文化を持つ人と一緒に過ごすことになった人々の映画を、カルチャーギャップをときおり背もたれに感じながら観た。

好きなシーンの一つは窓に見えて実はガラスが入っていないというもの。「軽蔑」でゴダールもこれでもかとやっていましたよね・・・