木葉

希望のかなたの木葉のレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.9
人の温かさが胸に染み渡る。そしてこの映画を観るだけで人に優しくしようと思えるから不思議だ。
カウリスマキの登場人物たちはいつものように、仏頂面で無愛想なんだけど、心根は優しく、シリア難民の青年にも温かく接する。シリアスな難民問題に対して義憤を喚起させ、ところどころにユーモアとポップさを漂わせながら描く。淡々とトボけた描き方なんだけれども、そのメッセージは強く、彼らの表情、随所に流れる音楽に、心の底から笑顔になれる。あぁ、こういう映画を待っていたんだ。世界がどんなに変わっていっても、他者に対しての優しさ、助け合う心だけは忘れないでいたい。カリウスマキ節の健在さに人間の不屈の精神と、人情に涙が溢れた。
木葉

木葉