さりげない優しさが、あとからじんわりくる作品。すごーくよかったし、考えさせられた。誰かを受け入れることは、自分を受け入れることでもあるんだな。
命からがら、なんとか祖国シリアを抜け出したカーリドを待ち受けていた現実は過酷。「情勢はそこまで不安定ではないから」と、問答無用で強制送還なんて、命を再び危険にさらしなさいと命令することと同じ。
だけど、そんなカーリドに手を差し伸べるレストランの面々や、収容施設で出会った友人など、まだまだ世の中捨てたもんじゃないと思わせてくれる希望の光たち。
欲しいものは、大好きな人たちとの平穏な暮らし。「みんなで救う」のキャッチコピーしかり、誰かの気持ちに寄り添える自分でいたいとつくづく思った。
寿司のシーンは爆笑。和装と壁のジミヘンポスターのシュールさ!ワサビ盛り盛り寿司を食べさせられたお客さんたちを見送るメンバーたちのせつなさったら…。
カウリスマキ作品独特の「間」は、今作でも健在だった!
監督おなじみの、ジュークボックスとバンド演奏と無表情な顔。ヘルシンキは行ったことない街なのに、なぜだかいつも懐かしい気持ちにさせてくれる。こういう気持ちは、国とか関係なく、根底に流れてるもんなんだろうな。