とりちゃん

希望のかなたのとりちゃんのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.0
久々のカウリスマキ。難民、収容所、強制送還、ネオナチと重たいテーマを扱ってるんだけど、どん底の状況下に次から次へと差し出される名もなき人達の救いの手に心温まる。唐突にやってくるスシ屋のくだりが味わい深い。レストランの壁に貼り付いてるジミヘン、スシ屋のBGMがよりによって竹田の子守唄と、独特のセンスは唯一無二。ほとんど表情を変えることなく、当たり前のように淡々と手を差し伸べる市井の人々。めっちゃ凄いことしてるのに「ステキな荷物を運べたから報酬なんかいらん」とサラリと言い放つトラックの運転手に象徴されるように、ここぞというところで盛り上げたり、情に訴えない演出はまるで小津作品を観ているよう。
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