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希望のかなたのtomoのネタバレレビュー・内容・結末

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

カウリスマキ作品初めて!これは好きな感じ。最初から最後まで浸れる作品だった。シリアからの難民カーリドに対して、最もらしい理由をつけて強制送還しようとする行政、ナショナリズムが行き過ぎて暴力で排除しようとする若者。この非情さが今ヨーロッパが抱える難民問題を物語っている。その一方で、妹探しに協力してくれる友人や、雇い入れるレストランの支配人など優しさを感じる部分がたくさんあって、それこそ希望なのだなと感じた。
レストランの従業員も頼りなさそうだけれど憎めない人たちばかり。いきなりメジャーで背を測り始めたかと思えば寝床を探していたり、拾った犬を支配人から隠そうとしたり、流行りにのって寿司屋をやろうとしたけれどダメダメでみんなで法被姿で肩を落としたり、、愛らしい所がいっぱい!
支配人のヴィクストロムもアル中の妻の元を離れたり、買い取ったレストランも全然売れてなかったりなんだけれど、そちらも少しずつ上向きになっていくような希望が持てる。
そして最後のカーリドの柔らかい笑顔が良くて、寄り添う犬も愛らしくて!これを幸せというのか何というのかはわからないけれど、心地良い気持ちでいっぱい。
随所に散りばめられた音楽がどれも良かったんだけれど、強制送還されると決まった夜にカーリドが楽器を演奏し、それを皆が静かに聞くシーンはほろっと泣けてしまった。
全体的に抑えた演技だからこそ細かい機微に触れることができてそれもまた好きでした。
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