オトマイム

希望のかなたのオトマイムのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.1
想像してごらん、国のない世界を
難しいことじゃない
殺す理由も死ぬ理由もない…

と歌ったのはジョン・レノンだった。だけど全くの無から想像の翼を広げることはなかなか難しい。カウリスマキ監督はこの映画が、私たちが「想像する」きっかけになることを願っているような気がした。

内戦が続くシリアからフィンランドにたどり着いた青年。執拗に因縁をつけてくるネオナチ、難民受け入れ拒否や強制送還などの世知辛さなどがリアリティをもって描かれる。その一方で、IDカードの偽造とか収容施設からの脱走とか、ふつうはそうそう上手くいかないであろう関門は漫画みたいにさらりとクリアしていく。
監督は、シリアスに描かれがちな仔細なことをユーモアを交えて省略することによって今いちばん伝えたいこと、例えば「辛い立場の難民たちの気持ちを想像して」「理不尽な苦難や痛みのない世界を想像して」といったメッセージをより際立たせたかったのではないだろうか。

独特の間や真顔のジョークなどカウリスマキ節全開でバンドによる音楽もいつも通りすごくいい。胸にぽうっと灯がともるような映画だった。