和泉多摩川

希望のかなたの和泉多摩川のレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
4.4
同じ問題でも、もっとシリアスかつ感動的にする監督もいるんだろうけど、淡々と描いていたのが素晴らしかった。祖国の曲を聴く難民申請を待つ人々も、宿を確保してもらった主人公も、抱きしめ合う兄妹も、みんな真顔で、それがよかった。
3年前にヘルシンキに行ったけれど、たしかに素晴らしい街だった。人々は優しくて面倒見がよくて、また行きたいなとずっと思っている。そんな国でも現実の厳しさを突きつけられる主人公をみて胸が痛む。
『希望のかなた』という邦題からは、"希望が叶ったさらにその向こう側へ"という印象をわたしは受けたのだけど、英題は『the other side of hope』ということで、この話は希望の反対側の話かもしれないし、希望のさらに先の絶望の話かもしれないし、すぐ先に希望がやってくる現実の話かもしれないと思った。