狂王キシリトールヴィヒ2世

希望のかなたの狂王キシリトールヴィヒ2世のレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
5.0
これでもかというほどカウリスマキの映画すぎてただ静物がうつされているだけでも一見してカウリスマキの映画であるとわかってしまうし物語も人物も間もあまりにカウリスマキ。カウリスマキ調。幸せだから笑うのではない。笑いすぎてはいけない悲しそうにしてもいけない。作品は完全にカウリスマキ調以外のなにものでもないけど本当に小津を敬愛してやまないんだな。人間は悲しいときに悲しい顔をするわけではないし絶望と希望の間に隔絶はない。難民の想像も及ばないような悲劇は労働者の世知辛い日常のようにありふれたものであるという危機感。愛おしさ切なさおかしさは大げさなものではないけどだからこそ美しい。本当は何よりも負の感情たとえば怒りが強いのかもしれないけど強かな美しさおかしみを持ち続けているのがすごい。あらゆる意味で崇高な映画。人がはす向かいでテーブルへつくだけでうまれる芸術的ドラマが好き。