ひでやん

希望のかなたのひでやんのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.9
フィンランドに流れ着いたシリア難民の青年が、周囲の人々に助けられ希望へ向かう物語。

難民認定のため警察へ向かった後、収容施設に移送されるカーリド。彼の希望は生き別れた妹を見つける事。

一方、酒浸かりの妻と別れてレストランのオーナーになるヴィクストロム。二人の新たな人生が同時に進行し、中盤でその人生が交わる。

内戦、難民問題、ネオナチによる差別など深刻なテーマに向かった作品で、他のカウリスマキ作品と比較すると重い雰囲気。

相変わらず役者は皆無愛想で、善人も悪人も無表情。ワンカットに収められた独特の色合いと構図、そこに流れる音楽のセンスは絶妙だが、哀愁や滑稽さが感じられず、今は亡きマッティ・ペロンパーの不在がやはり寂しい。

そんな物足りなさを感じていた終盤、カウリスマキは突然コメディをぶっこむ。

レストランが打ち出した苦肉の策がまさかの寿司。暖簾に提灯、法被にハチマキ、てんこ盛りのワサビが日本人には可笑しくてたまらない。

希望へ向かう終盤、トラックの運ちゃんが言う。

「ステキな荷物が運べた。金なんか要らない」

その心温まる台詞は「ル・アーヴルの靴みがき」を思い出させる。

みんな、オラに善意を分けてくれ!

周囲の人々が少しずつ難民に「善意」を与え、その優しさによる「善意玉」を食らって感動した。

「ル・アーヴルの靴みがき」に続く「港町3部作」改め「難民3部作」の第2弾という事なので、もう一本撮るんでしょうね、いつか…。