とても幸せな映画だった。シリアスな要素もカウリスマキの手のひらに温められてこねられてわたしたちの中に眠る偏見のかたまりをやわらかくする。ひと握りの優しさの寄せ集めは、ひとりの大きな希望にかわる。
物の置き場とか人の立ち位置とかに至るまで全てが美しくておかしくって愛おしい。目に映るものこだわって計算され尽くした感じとても好き。
主張したいことって何かと鼻息荒くなりがちだけど、肩肘張らずにゆったり緩くても伝えたい気持ちはしっかりと伝わるのね。
ずっと大事にしたい宝物のようで、でも独り占めしたくない、みんなでシェアしたい作品だった。