淡々と進むストーリー、抑揚が少ないのにたまにシュール。
フィンランドなのにどこか小津安二郎を感じさせる。
レストランのみんなはやる気がなくてふざけているのかと思ったら本人的には本気だったり、
突然全力で寿司握り出したり、表情から動きが全然読めない。
なのに端々に見返りを持たない善意や思いやりが見え隠れする。
見ず知らずの外国人カーリドに、捨て犬コンスティネン、
結局は手を差し伸べ、視聴者の予想を大きく超える優しさを発揮するヴィクストロム。
素敵な荷物が運べた。金なんていらない。
粋すぎる。運転手さんよ。
なんだろう、この不思議な感じ。
主人公カーリドが山田孝之にしか見えない。
ハッピ着てたら、そのままCMにでれそうな山田孝之。
山田孝之が止まらない。
この映画の背景の根底にある難民問題。
これもまた声を大にして喚起するわけでなく、静かにその現実を描く。
国を捨てざる得ない人達の、生きるための最後の希望と思っていた難民申請。
許可のハードルがあんなに高くて、あっけなく申請却下、容赦ない強制帰国の通知。
これが現実とまざまざと見せつけられる。
何か大きく感情を動かされることはないのに、余韻が長引く映画。