希望のかなたの作品情報・感想・評価 - 113ページ目

「希望のかなた」に投稿された感想・評価

脚本 5
演出 5
画作り 5
音 5
独創性 5
関心の持続 5
演技 5
陶酔感 4
言葉 5
バランス 4
ワンコ、お前ついてきてたんか!!
前作の緩さ、軽さは失われてはいないけれどだいぶ後景に退いている。ウェイターが青年の身長を測ったあとに冷蔵室の長さも測るのがいいシーンだなぁと感じた。前作である種のユートピアを描いたからこそ、今作の緊迫感にカウリスマキの意志を感じたし、それでもなおいきなり石炭の山からメインキャラクターを登場させたりスプーン一杯分のワサビをシャリにドカ盛りさせるユーモアを忘れないしたたかさもあって、素敵です。
「SUSHI」、、まさかカウリスマキの映画のお決まりのレストランで、寿司🍣が出されるなんて!、、それも、無茶苦茶マズそう(~_~;) ハハハ、、。

それになんと、山田孝之出てるやん!(嘘です、、でも似てる)

今、世界中で深刻な難民問題を、カウリスマキが、いつものユーモアといっぱいの音楽と可愛い子犬と溢れる優しさで描いてます。ああ、もう好きだ!!

仕事終わって渋谷の坂道を、溢れる人をかき分け、汗かきかきユーロスペースに駆けつけたら、満席直前ギリギリセーフで35mm版を観ることが出来て本当に良かった^_^
時代がカウリスマキを求めているのだろうか、、?

もし世界中の人々が、人生のほんの90分間をカウリスマキの映画に費やしたとしたら、世界はきっと今より少しは良くなってるんじゃないだろうか、、。そんな事を、ユーロスペースからの帰り道、歩きながら妄想した。希望ってのは「かなた」ではなく「すぐそこ」にあるんだな。
m

mの感想・評価

4.0
たのしみにしてたカウリスマキ監督新作

いつも作品に出てくる不器用にあたたかいひとたちがだいすき

テーマも大切なだいじなことで
海を越えてちゃんと向き合わせてくれることにありがたいとおもう

ユーロスペースの特大ポスターにも毎回ぐっとくるな
難民というラベリングで、ニュースの中で同情され、入国審査で冷たくされ、ネオナチに迫害される主人公。

フィンランドの無表情でやさしく可笑しい人たちは、困っている隣の人に大丈夫かと聞くのと同じように、彼にできる分だけの手助けをする。

難民だからかわいそうな境遇だから、じゃなく困ってるからちょっと助ける。そういうの、忘れないようにしたい。

そして隣の人や自分と同じように、仕事をして家族とご飯を食べて音楽を楽しんでいた彼が、だれかのミサイル1発で、難民という人生にぶちあたって迷いこんでいるということを考えていきたい。

ざらざらした映像がよい。音楽もよい。寿司屋もよい。
ヘヴィーなテーマをポップに描く快作。
随所でクスッとさせられる。
TOSHI

TOSHIの感想・評価

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実際に行った事がないため、私にとってのフィンランドという国のイメージは、カウリスマキ監督の作品が殆ど全てであり、すっかり、不景気で人々は仏頂面、至る所にストリートミュージシャンがいるというイメージになってしまっている。本作もまた、そんな要素が散りばめられているが、ヨーロッパを悩ます難民危機の影響が色濃くなり、より近年の状況を反映した作品になっていた。
前作「ル・アーヴルの靴みがき」とは、港町が舞台で、密航者が主人公という意味で共通点があり、シリーズ的な作品になっている。監督の拘りである、デジタルを一切介さない、35mmフィルムによる映像の質感が、今の時代では逆に新鮮だ。

内戦が激化するシリアのアレッポを逃れたカーリド(シェルワン・ハジ)は、石炭の山に隠れて、貨物船でヘルシンキに辿り着く。煤だらけの彼が路上ミュージシャンに小銭を施し、シャワーの場所を尋ねる場面が、本作のエッセンスを示す。自分も殆ど持っていないのに小銭を差し出さずにいられないカーリドと、片言の英語でシャワーの場所を教えるフィンランド人双方の、人間性が感じられる。
カーリドは難民申請をして収容施設に入れられ、イラク人のマズダックと知り合うが、シリアから遠く離れた北欧の街にも、多くの難民が押し寄せている事が分かる。入国管理局の面接でカーリドは、空爆で家族は死に、生き残った妹・ミリアムとはハンガリーの国境で生き別れになり、妹を探し出し呼び寄せる事が望みだと語る。宗教を聞かれて、神は埋葬したと答えるのが印象的だ。
並行して描かれるのが、不況の中、衣類のセールスマンをしていたヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)の生活で、仕事と酒浸りの妻に嫌気が差した彼は家を出て、ポーカーゲームで得た大金を資金に、ゴールデン・パイントというレストランの経営権を手に入れる。しかし料理は、ミートボールと缶詰めのサーディンのみで、スタッフは風変わりでやる気のない人達ばかりなのに笑ってしまう。彼等は前経営者が給料を払っていなかったため、金の心配ばかりしており、こっそり犬まで飼う始末だ(犬は監督の愛犬)。
政府の対応は非常に官僚的で、カーリドは難民申請を却下され、送還が決定されるが、妹を探すため不法滞在を決意する。フィンランドでは右派政党が台頭しており、カーリドは「フィンランド解放軍」と書かれた揃いのジャンパーを着たネオナチの暴力に晒される。カーリドはフィンランドを「皆が平等でいい国」と聞いていたが、ヨーロッパ全体を覆い、フィンランドでも顕著になっている難民への排他的な機運が、その期待を打ちのめす描写がショッキングだ。それでも市井の善良な人々の優しさが、カーリドを救う。
冒頭でヴィクストロムが乗ったクラシックカーと、煤だらけのカーリドが出会して以降はずっと、二人のパートが別々に描かれており、どう関係があるのかと思っていたが、ヴィクストロムが店のゴミ捨て場で寝ていたカーリドに救いの手を差し伸べ、店員として雇い入れる事になる。行き詰った過去を捨て、人生をやり直したいと思っている点で二人には共通する部分があり、家族のようになっていく過程に引き込まれる。マズダックの協力もあり遂に、妹が見つかったという連絡が入るが…。生命の危機に瀕しながらも、微かな希望が感じられるラストシーンが余韻を残し、タイトルの意味が胸に迫ってくる。

従来作品に比べるとよりシリアスなトーンとなっている本作だが、カウリスマキ監督らしいユーモアのセンスが弾けるのが、売上不振の店を日本風のスシの店にリニューアルするくだりだ。ワサビてんこ盛りのスシに、爆笑する。
監督が寄せたメッセージによると、本作で目指したのは、難民の事を哀れな犠牲者か仕事等をかすめ取るずうずうしい経済移民だと決めつけるヨーロッパの風潮を打ち砕く事だったという。しかし本作で最も印象に残るのは、受け入れて助け合うという、今の時代では忘れられがちだが人として当たり前の行為だ。差別を受けながらいくつもの国境を超える旅をしてきた事で、笑顔を失ったカーリドと、仏頂面の優しいフィンランド人が織りなすドラマに感動させられた。カーリドがイランの弦楽器セタールを演奏する場面があるが、異なる国民が音楽でなら共鳴し合う事ができると思わせる描写も、カウリスマキ監督ならではだった。
難民問題と経済問題と二つの側面から描かれるフィンランドを舞台とした作品世界は、カウリスマキ監督作品の中でも、最も深みがある物になっており、最高傑作と言っても良いのではないかと思う。
カウリスマキ監督は今年、映画制作からの引退を宣言したが、某アニメーション映画の巨匠のように、そんな事はなかったかのように、また制作を再開し、難民三部作を完成させてくれる事を願う。

このレビューはネタバレを含みます

パターソン以上に胃が綺麗になった。
流石すぎる。
一周した子供のような大人の優しさ、本当に辛いのに優しいし、楽しめるし、温かい。
フィルムで観れてよかった…
2月の監督引退表明のせいもあってか、終わるのがこんなに辛いラストは無かった。
まつき

まつきの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

・カウリスマキ監督の作品は初めて観た。それどころか名前も聞いたことなかったし、どんな作風なのかも知らなかった。そもそもこの映画がどんな内容なのか知らず、予告も見たことがない状態で臨んだ。まぁ実は映画観るときだいたいいつもそんなかんじ。

・長々と前置きしたけれど、何が言いたいかというと、そんな状態で観て、めちゃくちゃ面白かったもんだから、本当に幸せな気持ちになった。映画サイコー。

・主人公はシリアから来た難民。これはドキュメンタリー映画『それでも僕は帰る』でシリア内戦(実際には国外からの参戦も多いらしいが)を学んでいたのでイメージするのは容易だった。

・主人公カーリドを演じた山田孝之似の俳優さんもまた、主人公と同じくシリアからフィンランドに移り住んだ人だという。ただ、内戦から逃げて来たというわけではないそう。インタビューを読むに、めっちゃ優秀な人。

・フィンランドは表向きには難民を受け入れる姿勢をとっているようだが、実際にはデタラメ
・劇中で描かれたネオナチ(かなり極端で笑えるけど)など、不寛容な存在はまた、現実にもあるそうだ。理不尽すぎてこちらもデタラメ

・つまり、現実のデタラメ(不寛容・不誠実)に、創作のデタラメ(寛容・やさしさ)をぶつける、アイロニカルなアプローチをしつつ、全体を可笑しみ(これこそが監督の作風と聞いた)で包んだ作品。

・この作品を評する点として、表層の「可笑しみ」の度合いがどうかということがあると思うけど、これはもうバツグン。寿司サイコー。
・その背景に、社会、個人の生活が浮かび上がるからすごいのだろうな。
・人物の舞台的な立ち位置、無表情でとんでもないことをいう、とんでもない行動をする、面白い。
・衣装、美術の色彩もよい

・私の2017年下半期ベストはこの作品になりそう
ひろ

ひろの感想・評価

4.2
2017私の映画館ラスト
久しぶりに見たカウリスマキ作品

この監督はぶれないなぁ
見たこと思ったこと感じたことをそのまま映像になってる

世界平和を目指すのは大変だけど
困ってる人がいたら手を差し伸べる それぐらいなら皆んなできるはずと 気づかせてくれる
そんなに大げさなことではない

困ってる方も 素直に助けてほしいと言えることが大事

素敵な荷物を運べたからカネはいらない なんて言える人に会いたいー 💕
あ 自分が言える人になればいいのか