希望のかなたに投稿された感想・評価 - 5ページ目

「希望のかなた」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

カウリスマキの映画は松本清張の短編のように冒頭から興味を惹くストーリーティングが見事だ。

本作はシリアからの難民問題とビジネスの再挑戦にあたろうとする壮年がそれぞれ、自己の問題を解決しようと行動する中でまさにこの2人が出会いお互いの事態を改善してゆく流れの見事さで、カウリスマキ作品には必ず漂う市井の人々の暖かさと優しさが本作にもある。

また、彼の作品は国家の「法」の存在と人間の本源的な「善悪」の価値判断を問いかけるテーマがあり、人間が安直に「法の奴隷」になることに対し警鐘を鳴らしているいるように感じる。
三条狼

三条狼の感想・評価

4.5
カウリスマキの画面づくりに心酔しているのでスコアをつけるとなるとバカ高くなります。冒頭で女優がアタマに付けているカーラーの色と数が完璧すぎて、テーブルのサボテンの形と大きさも完璧オブザイヤーでもうノックアウトでした。毎回思うけどセットもロケも本当に完璧なんだよな……

こうやって打ちのめされてしまうので、カウリスマキの映画は普段あんまり観ないようにしています。私やっぱ疲れてるな。意外なラストにそんな! とは思ったけど、絶望感ある仕上がりには絶対しない、そういうところも大好きです。






私もメキシコに飛んで日本酒飲みながらフラダンスしたい。
白湯

白湯の感想・評価

5.0
なんて素敵なの。
もしかしたら良い事より悪い事の方が多いけど、それでも生きようとする前向きさを感じる。
どうしてみんなあんなに無表情なのに、グッとくるんだろう。
アキ・カウリスマキ自身が思っているのだろう、多くの難民の行く末。

シリアから逃れてきた難民のカーリド。
やってきたのフィンランドであり、何とか逃げ込んだのは繁盛していないレストラン。

余計なセリフやバックミュージックなどは極力排除した、いつものカウリスマキ世界が作られている。

難民には決して優しくない現状だが、それでも手を差し伸べようとする人はいる。
レストランの面々はほとんど言葉はないが、ちょっとした救い。

レストランの従業員が他のカウリスマキ作品で見かける顔であり、別の料理店に鞍替えしたときがとにかく笑える。
カウリスマキの日本好きが伺い知れる。

難民に対し厳しいところを見せつけるが、それでも人間を信じたくなるその余韻がどこまでも優しい。
冒頭の汚れた黒い顔でもうドラマチックとユーモアを両立させていて参った。

映画全体を覆うこのトーン、初見なのにアキ・カウリスマキとは?が分かって最高。

素敵な監督。あなたのことが好き。
アキ・カウリスマキ作品、初鑑賞。
全体的に物静かなストーリーの進行が心地よい。

このレビューはネタバレを含みます

シュールな笑いを誘う間がうまい
笑ってしまう間って、国を問わないのかな

難民問題があまり自分に縁がないものなので、どうしても他人事と考えてしまうが、
みんなでなんとか助け合って生きる事は美しいな
kuu

kuuの感想・評価

4.0
『希望のかなた』
原題Toivon tuolla puolen.
映倫区分G.
製作年2017年。上映時間98分。

フィンランドの名匠アキ・カウリスマキが、前作『ル・アーヴルの靴みがき』に続いて難民問題をテーマに描き、2017年・第67回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞したフィンランド産ヒューマンドラマ。
ビクストロム役に『過去のない男』のサカリ・クオスマネン。

シリア人の青年カリードは内戦が激化する故郷を追われ、生き別れた妹を捜すうちにヘルシンキに流れ着く。
内戦で全てを失ったカリードにとって、妹を捜し出すことだけが唯一の望みやった。
ヨーロッパ全体を悩ませる難民危機の影響か、無情にも難民申請を却下され、いわれのない差別や暴力にさらされるカリードだったが、レストランを営むビクストロムに助けられ、彼の店で働くことに。
ビクストロムもまた、行き詰った過去を捨てて人生をやり直そうとしていた。。。

苦い皮肉と実存主義に満ちたカウリスマキの名作なんかな(初めてのこの監督作品視聴)。
今作品には、素晴らしい音楽も含まれてたけど、時々、音楽そのものというよりも、その映画で音楽をどのように存在させるかが、その作品の素晴らしさにつながっていると思うことがある。
今作品は、ヘルシンキに住むシリア人難民の物語を中心に据えることで、移民/難民の視点を前面に押し出していました。
ポストモダンの強制収容所から出られないで、官僚的な機関が亡命申請を審査し、何千マイルも離れたところから、自分が逃れた地獄を公式に『戦争』などと呼べるかどうかを決めるのを待つ、若い男性/女性であることの本当の意味を考える手助けをしてくれる。
あるいは、この重荷を背負って、『真のフィンランド人』やその他の国家主義的で外国人嫌いのクズたちと同じ通りを歩くことが何を意味するのか、である。
カウリスマキらしい皮肉な云い回しやけど、連帯の力も描かれていました。 兎にも角にも、カウリスマキは常に自分が語るものから一定の距離を置いているように見える(ある人は彼をスノッブ(上品ぶったり教養ありげに振舞ったりする、鼻持ちならない人)な映画監督と呼んだり、ある人は彼が登場人物を戯画化していると主張するかもしれへん)。
しかし、彼の魔法は、まさにこの距離(加えて大量のアルコール)が彼の映画をとても正直で人間らしいものにしてるし、ちゅうか事実にある。
常にある種の不条理さが漂うけど、個人的にはカウリスマキは、最も正確な意味でのリアリズムを表現していると思う。
視聴を終え、ふと思いに馳せると、この不条理なリアリズムが街のあちこちに適用されているのを目にする(そして耳にする)。
今作品も例外じゃない。
彼の大作じゃないかもしれへんけど、彼のようなアーティストにはこのブルジョワ用語はまったく必要ない。
それは、観てる側が作るもんなんやろなぁと感じた一作でした。
 
ame

ameの感想・評価

3.9
イッヌ可愛い
悲惨な境遇のお話なのにクスッと笑えるユーモアに溢れてて、それが人間の強さなのかもなぁって
青い壁に差し込む光が印象的 あとイッヌ可愛い
あー

あーの感想・評価

4.0
拝啓

 春分の候、いかがお過ごしでしょうか?
 
 桜のつぼみが春色に染まり、
笑顔と共に満開になるのを
心待ちにしております。

 さて、わたくしアキ監督の作品を
初めて鑑賞させていただきました。
観る前はシュールなヒューマンドラマ
だと勝手ながらに思っておりました。
作品を拝見いたしまして、
シュールな"社会派"ヒューマンドラマ
として驚いております。

 世情が危うい中、祖国から
逃げなければいけない方々を
迎える側として、優しさと悪意。
どちらを持つべきか問う映画でした。

 シリアの内戦の激化で故郷を
離れる際に妹と離れ離れになった
安田顕さんを爽やか増し増しに
したような青年が真っ黒な姿で登場。
地獄の黙示録かと思いましたが、
彼が故郷を離れる心持ちは如何様な
ものだったのでしょうかー。

 戦争は悲しみが満開です。

 希望が満開な方が嬉しいです。

 フィンランドにたどり着いた青年。
入国管理局で申請をし、妹を見つけ
妹とこの国で暮らしたいー。

 そんな彼の希望は打ち砕かれ、
彼の故郷では戦闘が行われておらず
"重大な害"といえるほどの危険は
発生していないー。

 彼は空爆で家も他の家族も失った。

 故郷に強制送還される事になる青年。

 逃げ出した先で出会う人々。

 拳と拳で会話。

 オッケー!!カモン!!
レストラン!!

 レストランの新しいオーナーと従業員達。
そして雇われる事になる青年。

  わさびはね、
  侘び寂び感じて
  ほんのりと。

 つきましては、この川柳は監督に
お伝えしたい所存でございます。

オーナー、JAPANの本買ってたよね!?

...取り乱しました。失礼。

 そうなって欲しくない。と願いながら
観ていた事が現実になりました。

 しかし何故でしょう。

 観終わりはタイトル通り、
希望を捨てない物語であったとー

 信じております。

 寒暖定まらぬ時期ですので、
ご自愛くださいますよう念じあげます。

       敬具

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