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名もなき野良犬の輪舞のshironのレビュー・感想・評価

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)
5.0
時系列が前後するので、観ている途中で「えっ?ってことは、あの時には既に××だったの??」
という驚きが何回も!!
痛いシーンが苦手な私ですが、我慢してでも観る価値アリです!

一度目は予備知識無しで観て、
二度目は裏の心理の演技を堪能。
少なくとも二回は鑑賞したい作品でした。

だって、一度目で騙し合いの裏を知った上で二度目を観ると
“あまりのショックで呆然としている”に見えていた顔が、実は“「してやったり」の気持ちを必死に抑えている”顔だったりするのですから。

そして、名優ソル・ギョングを起用した意味ってそこでしょう!!
一度目の鑑賞では観客へのミスリードを、
二度目の鑑賞では観客が奥深い心理まで読み取れるような演技を要求されるのですから。
そればかりか、三度目でも四度目でも新たな気づきがあるような演技。
いったいどこまでが本心だったのか?

演出も素敵でした。
フィルムノワールな部分がしっかりあって、ファムファタールも…(T ^ T)
アクションシーンのカメラワークは嬉しくなります。特に会長のシーンは映画ファンにはたまりません。

トークショーで作家の真山仁さんのお話が聞けたのですが、「万華鏡のような映画」とおっしゃっていたのが印象的でした。
クルクルと色を変え、形を変える本作をこれほど的確に表現なさるなんて、さすがは作家先生!
また「“あの映画に似ているな”と思った映画好き程、裏切られる」とも。なるほどww
ゴットファーザーが大好きで、韓国映画が大好き。
本作を語るのに、これ程ピッタリの方は居ないと思いました。

韓国映画事情にまで及ぶ熱いトークにテンションが上がって鑑賞出来たのですが、お話の中で聞いたキーワードが鑑賞中に気になってしまったので…出来れば鑑賞後にネタバレOKで先生のお話を聞きたかったです。
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