イム・シワン×ソル・ギョング！
イ ム ・ シ ワ ン×オルギョンン…
イィムゥ・シ ワァァァンンン！！×ウ…ン。
吾輩、『ワンライン』観て以来、イム・シワンのtricotであります！彼が小首傾げてる姿を想像しただけでハァハァしちゃってすっかり多汗党ですよ💦
きっと中学生だったらカンペンケースの蓋の裏にハングルでイム♡シワンて書いてたと思う！…ソル・ギョングは、特に印象が無いので、これからゆっくり認知しまっす。
そんでよぉ、めっちゃ良いぜ！コレ！
キレの良い、コリアンノワール最前線！シンプルなドラマを複雑にステッチする見事な脚本、常に工夫が感じられる撮影、高度な要求に応える演技、悲しみを湛えた…男達！
《《《ピンと来る人にだけ、脳に直接語りかけます…。ヨネダコウかよ！！っていう》》》
刑務所内、タフマンコンテストで巨漢をノックアウトした、美形の細っこい若者チョ・ヒョンス（イム・シワン）。そのクソ度胸と腕っ節、何より狡猾さに興味津々の、刑務所のボス、ハン・ジョホ（ソル・ギョング）。彼は看守を抱き込み監獄内の煙草の元締め、携帯持込み、厨房の占拠と、ビスケット・オリバばりのやりたい放題、まさに刑務所内の大統領です。
ヒョンスとジョホは利害も一致し、主従とは言い切れないような不思議な蜜月関係（キャー！）を築きます。
一時は他所から来た超大物の謀略でボスの座を追われ、命まで狙われたジョホですが、ヒョンスの捨て身の防護と知略により再びボスの座に返り咲くと、2人の絆はいよいよ強くなり（キャー！！！）、ヒョンスは出所後ジョホの組に入るように誘われます。
…ヒョンス、出所の日。ズラリと並んだ黒スーツと黒リムジン（多分、です）。その先には、赤いオープンカーでニヤニヤしながら寛ぐ、グラサンをかけたジョホ。…ナターシャ！！
…というのが導入です！
基調は、タイトル通りのノワール。無頼漢達の謀略を巡らせたマウントバトルです。そして実はある系譜にバッチリ位置付けられる作品でもあります。ヨネダコウじゃ無いよ⁈『⚪︎しき⚪︎⚪︎』や『××の×領』の系譜。いや、ラブの事は一先ず置いといて下さい！…まあ、言ってしまえば韓国映画ではありふれたネタなんですが、その大きなツイストが判明して以降も、感情の縺れや思惑で幾度もツイストを繰り返す、激エモドラマなんですよ！愛憎のケーブル編みや〜。（ジュネ摩呂）
人物を動かすために無理矢理なハプニングをでっち上げるのでは無く、人物の行動の波紋が複雑に干渉しあい状況・前提が変化していく。細かくは書けませんが、もうマジで面白い。
イム・シワンのナイーヴ無双っぷりはやはり最高。漂う誘い受け感！アクションもソツなくこなします。除隊後マッチョになってたら嫌だなぁ。
ソル・ギョングさん、凄くドラマを感じさせる佇まいですね。この、一見草臥れたオジサンがトップに成る（劇中の話ですよ）には、何か秘めた力があるに違いない。そんな風に思わせる何かが有ります。日本の役者で言えば誰だ？リリーさんとか？役所広司は言い過ぎ⁈
個人的にこの映画に、一番食らったのは確信に満ちた絵作りですよ。とにかく、ただ必要な場面をダラダラ撮ったりしない！必ず何かアイディアがあって、緩急が効いていて、視線をグイグイ持っていかれます。色使いも独特で、なんとなく近年のレフン作品みたいなネオンカラーが間接的に差し込まれて何処と無く艶かしい…。ラストショットのなんたる美しさよ！
これらの工夫によって、兎角重たく、停滞した空気が流れがちなノワールを、軽やかに観易くする事に成功していると思います。正直、ただ意味的に必要なだけの画をダラダラ撮るだけの邦画の二歩半先を行っている印象。
脚本はまあ、粗がなくも無いですが（実行犯、本人かよ！とか）、そんな事言ったら香港ノワールとか鳩の監督の作品なんて観られないですよ。充分合格です。
…劇中でヤクザもん達が野球してたり、花火してたりで、北野映画を感じたりもして、あぁ、北野作品がこれぐらいの完成度で観られたら…とちょっと切なくなってしまった。緊張と緩和の合間に顔をのぞかせるユーモアなんて、凄く北野なんですよね。今作に限らず、韓国映画に理想の北野映画を感じてしまう事は少なくないです…。
「人を信じるな、状況を信じろ」「人生で起こる事は大抵背後から来る」等々、パンチラインも満載。バイオレンスも許容範囲なのでは？あ、素揚げ拷問は酷い。焼き土下座を超えてます。パッケージアート、好きです。邦題は、賛否あると思いますが、吾輩は厨二マインドを大いに刺激されたので賛です！
…とまあ、とにかくツボに入れば、暫くはこの作品の世界に浸る事が出来る、秀作ノワールです！おススメ！！
勿論おススメ。…ヨネダコウ先生の愛読者にも、コッソリおススメです☺︎
