叶愛

すばらしき映画音楽たちの叶愛のレビュー・感想・評価

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)
4.5
父親が、興奮冷めやらぬ口調で繰り返しあたしに言って聞かせる話のひとつが、「人生で劇場で初めて見た映画、スターウォーズエピソード1のテーマソングがどれだけ素晴らしかったか」だった。数年前一緒に新作を見に行った時、冒頭の音楽で父親はもう盛大に感動していたし、恋人がよろこんでいるくらいにその様子が嬉しかった。思い返したら私の音楽の初めての感動は、全てと言っていい、映画音楽によって触られたものだ。初めて千と千尋の神隠しを見、「ふたたび」を聞いた当初の私は、その曲がなんと言う曲なのか、そもそも曲に名前が付いているという概念すらなかったし、「トトロ」は分かっても「千と千尋の神隠し」なんて作品名を把握出来ない程脳味噌も未熟で、もう一度見せてと頼むことも困難だった。歌詞の無い音楽にそこまで没入した経験も無かった。でも自分に焼き付いたメロディを必死に鼻歌だけで食いつなぎ、今でも「ふたたび」を聞くと保育園の砂場や、廊下の光景を思い出して、いつも私はそこで歌っていたんだと分かる、数年が経って、見返して、その頃には色々な事が把握できるようになった後の、その曲との再会の感動を忘れることは出来ない。話しかけられているみたいだった。その曲は私がずっと会いたくて待ち望んでいた人と、もう一度出会って更に絆を深める事が出来、そしてこれからもずっと深め続けられる確かな存在に違いなかった。ディズニープリンセス達が私の音楽の先生になって惜しみ無く歌うことの躊躇いの無さを呼吸と同じ程に教えてくれたように、あの時から私にとって音楽は時に人よりずっとずっと、心と繋がった親密な絆を育むことが出来る相手になった。私達が言葉に出来ない感情がどれだけあって苦悩することがあっても、音楽はずっとその先のその様相をしっかり理解した上でけれどもすくいぬしとして、あたし達の感情に触って、連れて行く。あたしが確かにその映画を見た時に抱いた感情や感動は現実のもので、それを体感した自分の延長に今生きていること、昔の恋人の匂いと同じくらいに鮮明で、家族が揃っていた昔の家のように安心だった。有難うございますが止まらない、本当にずっとにこにこして、胸の熱さに我慢出来ずはやく感想を書きたい書きたいと思って堪らなかった。ぼろぼろただただ泣いている、今まで好きになった全てのものに心から感謝している。映画音楽は私にとって、本当に、素晴らしい人生の恩人達だと思った。