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ジョシュア: 大国に抗った少年のmanamiのレビュー・感想・評価

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世界屈指の超大国である中国が、特にそのトップである中国共産党が、10代の少年少女をここまで恐る理由は、彼らの掲げる自由が複雑さを持たない純粋で真っ直ぐなものだから。中共は、彼らに真正面から立ち向かっても負けるということを知っている。だから彼らと対談する時の行政長官は、話半分に笑みを浮かべながら聞く。すごく嫌な態度で。彼らの存在はわたしたちにとってとるに足らないものであり、そして彼らはまだ子どもだからと、けれどその態度は、彼らの圧倒的な正義の前ではなす術がないのだと白旗を振っているようなものだ。愛国心が欠けている?彼らは決して中国人ではない、香港人だ。彼らは香港人としての誇りとアイデンティティを守りたいだけ。香港の未来は中国ではなく香港人が決めるべきだし、中共の言いなり長官など不必要、ただそれだけのこと。だからこそ余計に中国側が香港の普通選挙を否決したことが悔しいのだ。
作中でデモシストを結党し、2020年には立法会選挙に立候補する、とあった。しかし香港政府は、ジョシュア・ウォン含む民主派活動家12人の立候補を阻止した。議会選で民主派が過半数を制する可能性を摘み取るため、先月施行された国家安全維持法を当局側が利用するとの懸念が現実になってしまった。以前Twitterで、空港に集結した民主主義を求める数千人の市民がLes Misérables「民衆の歌」を歌っている動画を見てその美しさに涙したことを鮮明に覚えている。中共の干渉に反対の意思を示す時、安価で買える日用品である雨傘が香港の自由の象徴になった。彼らの強い意志と中国という強敵に立ち向かう勇気が報われるように、怒れるものたちの歌がどうか届きますように、そして戦いの先に自由を勝ち取ることができますように。
「日本の若者と言えば、あまり政治に関心がないとか、投票しないとか。そういうイメージが強いです。(中略)(国や社会に対する意識は)香港の若者は間違いなく高いと思いますよ。日本の皆さんは、まだ自分の力を自覚できてないじゃないかと思います。自分が何をやっても無駄とか、投票しても意味がないとたくさんの人が思っているかもしれません。でも、そんなことはなくて、ひとりひとりの投票や社会運動への参加で国が変わるかもしれません。政治は私たちの日常生活で、私たちが社会でどう生きるか、それはすべて政治とつながる話ですから、日本の皆さんには、香港のことを見て、日本は平和だなと思うのではなくて、世界や自分が生きている社会で常に何が起こっているのかを考える意識を持って欲しいです」Tokyo Voiceのアグネス・チョウのインタビュー記事を読んだ。香港での一連の出来事は他人事?日本人の政治への無関心さは異常だし、このままだと民主主義が揺らぎかねない。わたしたちは分かりやすい方法でしか物事を捉えず、今、日本で、世界で何が起こっているのかを知ろうとしない。先日、中共によるウイグル人迫害の記事を見て衝撃的で鈍器で頭を殴られたような気分だった。わたし一人の力でどうこうできる話ではないけれど、知ろうとしない、理解しようとしないことの罪は大きい。だからせめて、自分の愛する国のことだけでも知っておきたいと思う。香港加油!
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