天豆てんまめ

ビッグの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

ビッグ(1988年製作の映画)
4.3
童心がふわぁ~っと溢れ出るような、優しくて素敵な映画。

35歳の大人になってしまった中身12歳の少年を演じたトム・ハンクスが絶妙で違和感が全くない。この頃のトム・ハンクスもまた今とは違う軽やかな良さがある。

中身が子供だからこそのアイデア、正直さが、彼が入ったおもちゃ会社の仕事に活かされていくのだが、何といっても、社長とのピアノシーンは観ていて幸せになる。無邪気さ。天真爛漫。イタズラしたり、遊ぶときはほんと12歳感が溢れ、楽しそう。

そして、彼のピュアさに魅かれていくエリザベス・パーキンスもいい。2人の二段ベッドのシーンも可笑しくて笑ってしまった。

そんな彼が大人の体で、心も大人の階段を登る不可思議な面白さ。そして、大人世界に馴染んでいくことで、後半にかけて、何とも言えない切なさが増していく。子供に戻るのか、大人のままでいるのか、、

彼女も、彼が本当に子供なのではないかと思い始めて、、この辺りのいつ気づくか的なドキドキもあるロマコメ感もとってもいい。

そして、もうラストシーンが秀逸過ぎて、忘れられない!鮮明にあの姿、あの服が目に焼き付いている。最初に観て20年以上経つけれど心に残る名シーンだと思う。

観ると忘れていた童心が甦る。あの時を過ぎ去ってしまった大人だからこそ、琴線に触れるナイーブな響きがこの作品にはある。